2017年7月12日 「夏休みに海外留学」、過去最多 「海外で働きたい」大学生は少数派に

夏休み期間を利用して海外へ留学する大学生数は過去11年で最多数を記録したことが、民間留学関連企業の調査で明らかとなった。一方、海外で働きたいと思う大学生の割合が昨年の25%から11%と10ポイント以上減少。海外勤務を想定する大学生は少数派となった。この調査結果を発表したのは、雑誌「留学ジャーナル」発行元で、わが国最大級の留学エージェントでもある㈱留学ジャーナル(本社:東京・信濃町)。今夏短期留学申込動向と留学予定の大学生を対象とした留学意識調査を実施し、「2016年夏休み留学動向」としてまとめた。

 □大学生の夏休み留学予定者が過去11年で最多数を記録

大学生の夏休み留学予定者は、前年比7%増となり、過去11年で最多数を記録した。官民協働で進められている留学促進プログラムや、大学の留学プログラム募集など、留学できる環境が身近に用意されているなか、留学期間やプログラムが自由に選べる短期留学へのニーズも高まり、同社でも申込者数が増えているものとみられる。

 □大学生の学年別申込者は1年生が前年比8%減。一方大学2~4年生はそれぞれ増加

大学生の申込者数を学年別でみると、大学2年生が占める割合が47%と最も多くなっていることが分かった。学年別で申込者数を前年と比較すると、大学1年生は前年より8%減少、2年生、3年生、4年生はそれぞれ増加している。

大学生にとって、留学が身近になっているなか、授業が本格的に忙しくなる前に留学したいと考える2年が増えており、また秋から控える就職活動の前に、留学をして自身の視野を広げたいと考える3年生の申込者増加も一因になっていると考えられる。また、4年生では、就職活動を終え、社会に出る前に一度海外経験を積もうとするケースも増えてきている。

 □大学生の人気留学先はバンクーバー、トロントが5年連続1位、2位を独占 

2017年はトップはバンクーバーで、2位はトロント(いずれもカナダ)、3位はブリスベン(オーストラリア)となった。特にバンクーバーとトロントは過去5年間、不動の人気留学先として、トップ2の地位を占めている。これは、教育水準が高いカナダの中でも、この2都市が都会でありながら治安が良く、物価も比較的安く抑えられる点が定評となり、安定の留学先として選ばれるようになったことが理由として挙げられる。

また、英国ロンドンと豪州シドニー、カナダのビクトリアの3都市が5位となり、8位はアイルランドのダブリン、9位は米国ニューヨーク、10位は豪州のゴールドコーストが続いた。今回5位となったロンドンは、前回の8位からランクアップ。本場でスポーツ観戦ができることや、イギリス独自の文化に触れられることで人気がある。一方、6月上旬に起こったテロ事件も影響し、今後は留学先の選択肢から外される可能性もあるという。

 

留学後のキャリアについて

 □留学後のキャリアについては、海外勤務への意欲に変化。「海外で働きたいと思う」が昨年の25%から11%に減少

「将来海外で働きたいと思うか?」との質問に対し、「そう思う」「ややそう思う」とした人は62%から57%にやや減少。このうち「そう思う」とした人は昨年の25%から11%に減少し、海外勤務への意識に変化がみられた。また、「将来社会に出た時、直面しそうな職場環境はどれですか?」という問いに対しては、59%が「昇進などの条件で、語学能力を問われる」、40%が「海外の取引先と自らやり取りを行う」と回答した。「海外企業で働く(勤務地は海外)」は14%で、少数派の意見となった。

 □女性の8割が「治安」を重視して留学先を選定。男性は「街並みや雰囲気」を重視する意見が最多の6割

留学先を選ぶ際、女性では「治安がよいか」を重視する割合が、80%と最も高く、男性では「街並みや雰囲気」(60%)が「治安がよいか」(57%)を上回る結果となった。また、留学先を選ぶ基準別に希望留学先を聞いたところ、全ての項目でカナダの割合が高い一方で、「街並みや雰囲気」を重視している回答者は、アメリカ(46%)を選ぶ割合が高く、また、「現地の人の人柄」を重視している回答者は、オーストラリア(50%)を選ぶ傾向があることが読み取れた。

 □長期留学を望まない理由に「まとまった時間が取れない」(67%)「短期留学で十分」(24%)が上位ランクイン

今回の留学後の長期留学への希望を尋ね、「望まない」と答えた学生は20%。また、その理由を聞くと「まとまった時間が取れない」と答えた割合が 67%と最も高く、次いで「短期留学で十分」(24%)と続いた。学校の授業に加え、学年が上がるにつれインターンシップや就職活動など、取り組むべき活動が増える忙しい大学生の実情が伺える結果となった。


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