2017年5月25日 「人と協調するAI」目指す 京大とホンダが新たな共同研究を開始

京都大学大学院情報学研究科は、ホンダの研究開発子会社の(株)ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(HRI)と、人工知能(AI)の研究を加速させるため、プロジェクトチームを立ち上げ、今年4月から新たな共同研究を開始した。

ホンダは創業以来、すべての人に「生活の可能性が拡がる喜び」を提供するという想いのもと、二輪車、四輪車、パワープロダクツなどといった製品を通じて、世界中の一人ひとりの「移動」と「暮らし」を進化させることを目指してきた。

こうした取り組みを進める中で、デジタルテクノロジーの進化に伴い、従来以上の幅広いフィールドでの価値創造の可能性が拡がってきた。このような環境の変化を受け、ホンダは、これまでの「モノづくり」に加え、今までになかった新しい価値や体験を提供する「コトづくり」にもチャレンジし、人々の生活をより豊かにしていきたい考え。それを実現するための技術の一つが人工知能=AIだ。

「人の感情を理解し共感できること」「人に寄り添い、共に成長していくこと」「主役である人の可能性を拡大していくこと」が可能な「人と協調するAI」の開発を目指しているという。

時代を切り拓く新たなAIの開発を加速するため、HRIは京大情報学研究科知能情報学専攻とプロジェクトを立ち上げ、共同研究を開始した。プロジェクトでは、熊田孝恒教授が代表を務め、専攻長の鹿島久嗣教授も参画し、「人と協調するAI」が広く社会に受け入れられ、活用されるためのコンセプトの確立を目指している。

ホンダは、将来、AIを搭載したモビリティやロボットが信頼できる家族のようになり、生活の一部として人に役立つ社会を描いている。これからもすべての人に「生活の可能性が拡がる喜び」を提供し続けるため、多くのイノベーション創出に尽力していく方針だ。

情報学研究科は、情報学に関する先駆的、独創的、学際的研究の推進、さらには情報化社会のさまざまな側面を支える人材を育成することを目的としている。その中で、知能情報学専攻は、人間の情報処理機構の解明と、さまざまな情報処理分野への展開をテーマとしている。

人工知能やデータサイエンスのような情報学のコア分野のみならず、脳科学、心理学、生命科学など幅広い関連分野をカバーする教員を擁している点が最大の特徴。共同研究において目指している「人と協調するAI」の実現のためには、情報科学、情報工学の研究のみではなく、幅広い知の結集が必要だ。知能情報学専攻では、複数の教員、研究員、大学院生がチームを構成し、HRIと共同で、この問題にチャレンジしていく。

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京大情報学研究科知能情報学専攻の熊田教授のコメント「ホンダの創造性や技術力、HRIの研究開発力に大いに期待をしています。AIの新しいコンセプトを作り出し、世の中に発信していくことは、われわれ、アカデミアの人間にとっても大変魅力的です。この機会に新しい産学連携のあり方も模索できればと考えています」。

HRIの辻野広司代表取締役社長のコメント「京都大大学院知能情報学専攻は、人間の情報処理の解明から、理論構築、知能情報処理にわたるトップクラスの研究者を擁しており、HRIは長年にわたり、共同で研究を行ってきました。プロジェクトを通じて、新たな知能研究を提案していきたいと思います」。


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