2017年5月22日 北大、ダニ脳炎ウイルスを野生動物で確認 厚労省はマダニ感染予防の特設ページを開設

北海道大学の研究グループは10日、マダニに噛まれることなどで発症する「ダニ媒介脳炎」の原因となるウイルスについて、札幌市内で捕獲された野生動物が感染しているのを確認したと発表した。

「ダニ媒介脳炎」は、ウイルスを持ったダニに噛まれることで発症。潜伏期間は1週間から2週間で、発熱や筋肉痛などの症状が出る。そのうち3分の1は、髄膜脳炎に進展し、痙攣(けいれん)や眩暈(めまい)、知覚異常などがみられ、最悪の場合は死に至る可能性もある。国内では、1993年と2016年、ともに北海道で1例ずつ発生しており、このうち昨年夏のケースでは、感染した40代の男性が亡くなっている。

研究グループは、札幌市内で捕獲されたネズミやアライグマなど84匹の野生動物の血液を調査。その結果、約1割にあたる10匹がウイルスに感染していることがわかったという。

 

■ 厚労省、マダニ対策ページを開設

一方、厚生労働省は、マダニが活動期に入ったことを踏まえ、「ダニ媒介脳炎」のほか、「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)といったダニ媒介感染症の予防に向けた特設ページを開設した。

「重症熱性血小板減少症候群」は、2011年に初めて特定された、新しいウイルス(SFTSウイルス)に感染することによって引き起こされる病気。主な症状は発熱と消化器症状で、重症化すれば死亡することもある。治療は対症療法のみで有効な医薬品やワクチンはない。国内では西日本を中心に232例が報告されており、このうち53人が亡くなった。

ページでは、それぞれの病気の詳細をまとめているほか、注意するポイントやマダニの生態などに関する情報を掲載した国立感染症研究所のリーフレットを公開している。感染予防に向けては、山や草むらでの野外活動の際、ダニに注意するよう指示。具体的には、防止や手袋を着用、首にタオルなどをまくことで肌の露出を控えたり、長袖・長ズボン・登山用スパッツ等を隙間が無いよう来たりするよう求めた。さらに、サンダル等は避けて、足を完全に覆う靴を履いたり、マダニを目視しやすくするために明るい色の服を着たりすることも有効だと指摘。万が一噛まれた場合は、無理に引き抜こうとせず、医療機関(皮膚科など)で処置してもらい、発熱などの症状があれば改めて受診するべきだとした。


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