2017年5月18日 学内に島津製作所精密機器分析室 東工大が開設―設備共用化や若手支援を加速―

東京工業大学は生命理工学院内に「島津製作所 精密機器分析室」(通称:アンテナショップ)を開設した。昨年度の大学改革による同学院の創設を機に、島津製作所から寄贈されたライフサイエンス関連先端精密機器を中心に先端的な機器を備えた施設で、先端研究の推進をはじめ、若手研究者や学生らの研究支援、国際共同研究や企業との産学連携の推進に活用する。また、同社においては、新たに開発した機器等を利用した産学連携スペースとして同分析室を活用することを計画している。東工大としては学内に設置された最初の企業との連携による共用機器室になる。東工大は産学連携の一つのモデルとともに、全学的な設備共用化をさらに加速する。

東工大の生命理工学院とバイオ研究基盤支援総合センターによる同分析室を核とした設備共用化の取組は、平成29年度の文部科学省先端研究基盤共用促進事業(新たな共用システム導入支援プログラムに採択されている。

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東工大は平成19年に技術職員を集約して技術部を発足した際、技術部の扱う研究設備は全学共用した。その結果、技術部は現在、約230台の全学共用の研究設備を管理・運営している。平成28年度の大学改革に伴い、「総合的な研究力を高めるための学内資源の効率的配分・運用と環境整備」を中期目標に掲げ、技術部を中心に全学における研究設備の共用化を進めると同時に、研究設備の充実と運用体制強化に取り組んでいる。

一方、生命理工学院は組織改編に伴い、生命理工学に関連した約70の研究分野を構築し、学士課程から大学院(修士課程・博士後期課程)までを一貫して教育する国内最大の生命理工学教育研究組織として新たにスタートした。医薬品などの有機合成から、細胞、動物実験に至るまでの多彩な生命系学際研究の推進が可能となっている。こうした組織は、国内外で類を見ないものであり、産学連携も含めたさまざまな融合研究が展開されている。

また多彩な先端研究を行うための基盤環境として、現存する測定機器の効率的利用や先端研究人材の育成強化を加速するための基盤整備が急務となっていた。そこで、平成28年度に同学院内に研究企画推進会議を設け、学内の共同利用施設であるバイオ研究基盤支援総合センターと協力して「既存装置からの共用設備の選定と共用機器室の設置準備」を進めてきた。

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共用実験室は、実験台と汎用機器を移設し、今年度中頃から使用を開始する。設備共用化の核となる分析室には今年度初めに島津製作所からメタボロミクス解析システム(液体クロマトグラフ質量分析計)、マイクロチップ電気泳動装置、ライフサイエンス分光光度計が寄贈された。さらに学院内の研究室に個別に整備されていた同社製機器や新たに学院で購入したフーリエ変換赤外分光光度計、分光蛍光光度計、高速液体クロマトグラフ、高感度ガスクロマトグラフ、示差走査熱量計など同社製精密機器を今年度から分析室で集約的に維持・管理することで管理運営を効率化する。学術論文の増加や産学連携推進のための起爆剤としての効果が期待される。


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