2016年11月25日 米国競技団体、収支差額トップはテニス 笹川スポーツ財団が報告書、役員の報酬なども調査

米国競技団体で最も儲かっているのは、収支差額40億円のテニスで、2位はゴルフ、3位はサッカー。「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進する公益財団法人笹川スポーツ財団(SSF、小野清子理事長)がまとめた報告書で、米国競技団体の現況が明らかとなった。

SSFでは、2年に一度「中央競技団体現況調査」を行い、わが国中央競技団体の役員数や団体予算、競技登録者数といった現況について調査・報告しているが、今回、わが国の競技団体のガバナンス強化につながる基礎資料とすることを目的に、米国オリンピック委員会に認可された39の五輪団体の情報開示内容を整理し、報告書としてまとめた

米国競技団体の役職員については、「会長・理事長」「理事」「最高経営責任者(CEO)」「雇用者」の分類で人数を調べた。労働基準法をはじめとする法令が異なるため、わが国の雇用形態と同様ではないことに留意する必要があるが、39団体の役職員の合計は3980人。このうち「会長・理事長」「理事」のいわゆる〝役員〟が551人、「CEO」は39人、「雇用者」は3390人となった。

 

4位はトライアスロン、5位はバレー

収支の状況をみると、39団体の総収入合計は972億8100万円で、総支出合計は898億7000万円。競技別では、収入超過が最も大きかったのは、テニスで収入が支出を40億4200万円上回った。収入合計が2番目に大きかったのはゴルフで、収入から支出を引いた差額は12億500万円。

収入から支出を引いた差額は、3位のサッカーは7億8304万円、4位のトライアスロンが6万8127万円、バレーボールが2億1344万円となった。

 

役員報酬はテニスが2億3200万

役員やCOEへの報酬は、「近代五種」を除き38団体で支払われている。38団体のCEO報酬の総額は15億743万円で、夏季競技30団体12億4485万円、冬季競技8団体2億6257万円。平均報酬額は、夏季競技団体で4149万円、冬季競技団体3282万円。

競技別では、2億3189万円のテニスと、1億8354万円の水泳が突出した規模となっており、平均値を引き上げている。同じく冬季競技では9689万円のスキーが平均値を上げる要因となっている。これらCEOの1週間平均の勤務時間は、ほぼすべての競技団体で公正労働基準法の法定労働時間である40時間と記されている。

 

統一様式は比較を可能に

調査研究を行ったSSFの研究担当者は、米国の競技団体の基礎資料の公開のあり方について、すべての非課税団体の決算等の資料が統一の様式で公開されており、各団体の比較を可能にしていると分析。比較できることは、ガバナンス、特に社会からの監視に繋がり、団体の自己責任に基づいて情報が公開されれば、不正取引や資金移動等に関する抑止効果にもつながるとしている。

一方、日本でも公益法人改革により情報公開への意識は高まったものの、統一的な様式での公開ではないため、団体間の運営状況を比較することは容易ではないとし、米国の手法は参考にすべき事例としてあげている。


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