2022年3月7日 【筑波大】ロボットやAIの発話に「重み」を付与〜聞き手が感じる真剣さが高まり、怒りが抑制される〜

ロボットやAIスピーカーなど発話機能を持った製品が普及してきた。しかし、こうした機械の発話音声は、人の声と比べると平坦で、メッセージに〝重み〟を感じないという声もある。ロボットやAI技術は今後も社会に浸透していくことが予想されるが、大事な内容を伝える場面では、そのメッセージの表出力を高め、聞き手により重みを感じさせる技術が求められていた。

そこで、筑波大学システム情報系 知能機能工学域の田中文英准教授研究チームは、小型ロボットの内部に重りを組み込み、ロボットの発話に合わせて重りを動かすことができる機構を開発し、2020年に発表した。ユーザーはロボットを手に持つことで、発話に合わせたロボットの感情や意図を内部重りの動きから感じ取ることができる。

この研究では、この機構を備えたロボットが話し相手に与える影響を初めて調査した。実験参加者には、あらかじめ用意された対話シナリオ(知人が待ち合わせに遅刻する)により、怒りを覚える状況をイメージしてもらい、そこでこのロボットと対話してもらった。

94人の実験参加者から得られたアンケート調査結果から、発話に合わせて内部重り運動が提示された条件では、発話のみが提示された条件と比べ、ロボットに対して感じる真剣さの度合が有意に高まることが分かった。

さらに、前者の条件では、後者の条件と比較して平均23%の怒り抑制効果が確認されると同時に、遅刻した相手に対する許しの気持ちも高まることが実験結果から示唆された。

研究で開発・検証された技術は、人間がAIやロボットと親密にコミュニケーションしていく社会や、そうした技術を介して人と人がコミュニケーションしていく社会で、〝想い〟や〝感情〟などの要素を効果的に伝達することに役立つと期待される。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.