2022年1月27日 【東大】洪水予測データの利活用等で共同研究 長野県をフィールドに予測データ活用型流域治水の実現へ検証

東京大学生産技術研究所、名古屋大学大学院工学研究科、宇宙航空研究開発機構、あいおいニッセイ同和損害保険㈱、長野県は、平時の治水対策と有事の水害対策を統合した流域治水の実現を目指し、洪水予測データの利活用や、長野県が保有する水位等のデータを利活用した洪水予測の精度向上などに関する共同研究を昨年10月から実施している。

この共同研究成果の第一弾として、東大とJAXAの共同研究グループが開発・運用するToday‘s Earth‐Japan(TE‐J)の最大30時間以上先までの洪水予測データを、あいおいニッセイ同和損保が公開しているリアルタイム被害予測ウェブサイト「cmap」に追加した『長野県庁職員向け cmap』を構築した。長野県庁職員向けcmapは、今年1月から長野県庁での検証を行っている。

気候変動により頻発化・激甚化する洪水被害は、世界的に対策が望まれる重大な災害の一つ。わが国では、気候変動適応計画の中で、国、都道府県、市区町村、企業、住民など、あらゆる関係者が協働して流域全体で水害を軽減させる治水対策「流域治水」を推進し、ハード・ソフトが一体となった防災・減災対策を進めることが重要であることが示されている。

今回、これらの課題を解決することを目的として、東大などは「地表面水文量予測情報※3を利用した流域治水の先進的な実践」(予測データ活用型流域治水)をテーマとして、洪水予測データを表示する「長野県庁職員向けcmap」の提供と、予測情報の社会実装による効果、洪水予測の精度向上・高度化等について共同研究を行うことになった。

予測データ活用型流域治水は、各種の流域治水対策に洪水予測を取り入れてリードタイム(時間的猶予)を創出し、平時と緊急時での行動計画に反映させ、QoL(quality of LIFE:生活の質)の向上を目指すもので、長野県DX戦略に基づく取組の一環と位置付けている。

実現のためには、長野県内各地の観測データをリアルタイムで取り込み洪水予測を再計算するなどの取り組みも検討している。

洪水予測データの利活用により、例えば迅速な避難・防災行動などで、当事者の心理的負担を減らすことが期待される。また、利水ダムやため池の有効活用など、防災と他分野とのシナジー効果を加味し、新たなデータ利活用のあり方を追求する。


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