2021年12月13日 【京大】1月の北西太平洋の爆弾低気圧が近年急増 東シナ海上の温暖多湿化が要因

吉田 聡京都大学防災研究所准教授、岡島 悟東京大学特任助教、中村 尚同教授らの研究グループは、過去55年にわたる北太平洋の爆弾低気圧活動の長期変化について解析した。冬季に急激に発達する「爆弾低気圧」は暴風雪や波浪、高潮による災害をもたらす。北西太平洋域は爆弾低気圧活動が特に活発な地域であり、過去の爆弾低気圧活動の長期変化とその要因の解明は、今後気候が変化してゆく中で爆弾低気圧活動がどうなっていくのかを知る上で重要。人工衛星観測を用いない長期にわたって均質な全球大気データを用いて、1958年からの北太平洋の爆弾低気圧活動の長期変化を調査した結果、1980年代後半から北西太平洋上で、1月の爆弾低気圧が急増していることを発見した。

1980年代後半以降、大陸からの季節風に伴う寒気の吹き出しが弱まり、中国南部から東シナ海にかけて対流圏下層の湿潤な前線帯が強化されていた。この前線帯で発生し、日本南岸を通過しながら北西太平洋で急激に発達する低気圧の頻度が増えたことが、爆弾低気圧の急増に繋がっていることを明らかにした。

この研究成果は、12月10日に、国際学術誌「Journal of Climate」にオンライン掲載された。


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