2021年7月28日 景気は一部で弱さ増す 基調判断は据え置き―7月の月例経済報告

内閣府がまとめた7月の月例経済報告によると、住宅建設が底堅い動きとなっており、貿易・サービス収支はおおむね均衡していることなどから、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している」と企業判断を据え置いた。先行きについては、「感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種を促進するなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。」としている。

日本経済の動向についてみると、個人消費においては、需要側統計(「家計調査」等)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、前月比1.9%減となった。個別の指標について最近の動向をみると、「家計調査」では、実質消費支出は同2.1%減となっている。販売側の統計をみると、「商業販売統計」では、小売業販売額は同0.3%減となった。

設備投資は持ち直しており、需要側統計である「法人企業統計季報」(1~3月期調査、含むソフトウェア)でみると、2021年1~3月期は前期比0.4%減となった。業種別では、製造業は同0.5%増、非製造業は同0.9%減となっている。機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)は、このところ増加。ソフトウェア投資は、おおむね横ばいとなっている。

住宅投資は、底堅い動きとなっており、持家の着工は、横ばいとなっている。貸家の着工は、底堅い動きとなっている。分譲住宅の着工は、おおむね横ばいとなっている。総戸数は、5月は前月比0.9%減の年率87.5万戸であった。

公共投資は、高水準で底堅く推移している。4月の公共工事出来高は前月比2.1%減、6月の公共工事請負金額は同16%減、5月の公共工事受注額は同7.8%減となった。

輸出は、緩やかな増加が続く。地域別にみると、アジア向けの輸出は増加し、アメリカ、EU及びその他地域向けの輸出は、おおむね横ばいとなっている。

輸入は、持ち直しの動きがみられる。地域別にみると、アジア、アメリカ及びEUからの輸入は、持ち直しの動きがみられる。

鉱工業生産は、持ち直している。鉱工業生産指数は、前月比6.5%減となった。鉱工業在庫指数は、同1.1%減であった。

企業収益は、感染症の影響により、非製造業では弱さがみられるものの、総じてみれば持ち直している。「法人企業統計季報」(1~3月期調査)によると、2021年1~3月期の経常利益は、前年比26.0%増、前期比5.6%増となった。業種別にみると、製造業が前年比63.2%増、非製造業が同10.9%増となっている。

企業の業況判断は、一部厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。「日銀短観」(6月調査)によると、「最近」の業況は、「全規模全産業」で上昇した。

雇用情勢について、完全失業率は、前月より0.2%ポイント上昇し、3.0%となった。雇用者数はこのところ横ばい圏内となっている。


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