2021年6月17日 【医歯大】コロナ医療機関に調査 3分の1が「ECMO開始基準」を設定

東京医科歯科大学と慶応義塾大学の共同研究グループによると、新型コロナウイルス感染症治療に対する人工呼吸器の導入基準や体外式膜型人工肺装置(ECMO)開始基準を設けている医療機関は、三分の一程度であった。

この調査研究を行ったのは、東京医科歯科大生命倫理研究センターの吉田雅幸教授、慶應義塾大医学部麻酔学教室の森崎浩教授ら。新型コロナ治療に従事する医療者が、患者や家族に対して治療に関する説明や同意の取得をどのように行っているか把握するために、国内ECMO所有医療機関37施設を対象にアンケート調査を実施、15施設から回答があった。

調査によると、ECMO装着に関するガイドライン装着に関するガイドラインを作成していたのは、回答施設の33.3%だった。ガイドライン項目としては、人工呼吸器やECMOの「適応基準」を含めていたのは回答施設の100%。一方で、人工呼吸器やECMOの「離脱基準」を含めていたのは回答施設の75.0%、「中止基準」を含めていたのは50.0%だった。

重症患者に対する説明・同意取得方法としては、「説明時の状況で、説明を行う医師と説明を受ける同席者がいた」と回答したのは83.0%。同席者の内訳としては、看護師73.0%、家族58.3%、他の医師が41.7%。回答者の83.3%が「患者への説明や患者からの同意は口頭で実施した」と答えた。

重症患者や家族への説明内容に関しても聞いた。「呼吸状態が悪化した場合に気管内挿管をして人工呼吸器による治療をする可能性」について、患者に対しては回答者の91.7%が、家族に対しては90.9%が説明した。また、「人工呼吸器での呼吸サポートが限界に達した場合に、より体に負担のかかるECMOを使用する可能性」に関して、患者に対して回答者の83.3%、家族に対しては100%が説明したという。

タブレットなど用いた説明の確立が必要

これらの調査結果を通して、研究グループでは、「より良い説明を実施するために、遠隔であっても説明者と患者、家族が互いの顔やようすを見られることや、説明時に文書や図を示すことができる環境整備が必要」と指摘。このため、タブレットやスマホといったデジタルデバイスを用いた説明や同意取得方法の確立などの必要性を強調した。


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