内閣府は25日、11月の月例経済報告を取りまとめた。それによると、設備投資はこのところ減少し、企業収益は大企業で一部に減少幅の縮小がみられるものの、全体としては大幅な減少が続いていることなどから、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる」と基調判断を据え置いた。先行きについては、「感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、感染症が内外経済を下振れさせるリスクに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある」としている。
日本経済の動向についてみると、個人消費では、需要側統計(「家計調査」等)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、9月は前月比1.6%増となった。個別の指標について最近の動きをみると、「家計調査」(9月)では、実質消費支出は同3.8%増となっている。販売側の統計について、「商業動態統計」(9月)では、小売業販売額は同0.1%減であった。
設備投資は、このところ減少しており、需要側統計である「法人企業統計季報」(4~6月期調査、含むソフトウェア)でみると、2020年4~6月期は前期比6.3%減となった。業種別では、製造業は同5.3%減、非製造業は同6.8%減となっている。
機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)は、このところ減少している。ソフトウェア投資は、このところ弱含んでいる。
輸出は持ち直しており、地域別にみると、アジア、アメリカとその他地域向けの輸出は持ち直しており、EU向けの輸出は持ち直しの動きがみられる。また、感染症によるインバウンドへの影響については、10月の訪日外客数は98.9%減となった。
輸入はこのところ弱含んでおり、地域別では、アジアとEUからの輸入は概ね横ばい、アメリカからの輸入は弱い動きとなっている。
鉱工業生産は持ち直しており、鉱工業生産指数は、9月は前月比3.9%増となった。鉱工業在庫指数は、9月は同0.5%減となっている。製造工業生産予測調査によると10月は同4.5%増、11月は同1.2%増となることが見込まれている。
企業収益は、大企業では一部に減少幅の縮小がみられるものの、全体としては、感染症の影響により、大幅な減少が続いている。
企業の業況判断は、厳しさは残るものの、改善の動きがみられる。「日銀短観」(9月調査)によると、「最近」の業況は、「全規模全産業」で上昇した。12月時点の業況を示す「先行き」は、「最近」から概ね横ばいとなっている。
倒産件数は、10月が624件で概ね横ばいとなっている。負債総額については、10月は783億円となった。
雇用情勢について、完全失業率は、9月は前月と同水準の3.0%となった。労働力人口と就業者数は減少し、完全失業者数は増加した。