2021年10月28日 【NEDO】次世代船舶の開発に着手、CN実現目指し

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、グリーンイノベーション基金事業の一環として、「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指し、海上輸送の脱炭素化に必要不可欠な水素やアンモニア、LNGなどを燃料とする次世代船舶の社会実装を進めるためのプロジェクト「次世代船舶の開発」に着手する。同事業は総額320億円で、水素やアンモニアを燃料とするエンジンの開発など4テーマに取り組む。運航にあたって温室効果ガスを実質排出しないゼロエミッション船の商業運航の実現を目指す。

同事業を通じてゼロエミッション船など次世代船舶の普及を後押しする技術開発を加速させ、わが国造船業・舶用工業の国際競争力を強化するとともに、海運業も一体となった社会実装を進め、ゼロエミッション船の普及をけん引する。

昨年10月、日本政府は「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標を掲げた。この目標は、従来の政府方針を大幅に前倒しするもので、並大抵の努力で実現できるものではない。

エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションといった現行の取り組みを大幅に加速させることが必要。

このためNEDOは、総額2兆円のグリーンイノベーション基金事業により官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを対象として、研究開発・実証から社会実装まで、継続して支援することとしている。

同基金事業はグリーン成長戦略で実行計画を策定している重点分野を支援対象としており、その一つが「船舶産業」。水素やアンモニア、LNGなどを燃料とする次世代船舶の商業運航を実現させれば、海上輸送の脱炭素化に貢献できる。

また、基金事業の別プロジェクトでは、水素燃料やアンモニア燃料のサプライチェーン構築などを計画しており、次世代船舶がこれらのプロジェクトによって供給拡大、低コスト化された水素・アンモニア燃料などの利用先となることにより、世界全体のCO2排出量の約2.1%を占める国際海運全体でよりいっそう脱炭素化を促進することが期待されている。

課題が多い水素・アンモニア燃料エンジン

一方で、水素やアンモニアを燃料とするエンジンは技術的な課題が多く、世界的にもいまだ開発されていない。例えば、燃焼制御技術の向上など水素・アンモニア燃料特有の課題を解決する必要がある。

また、常温常圧で気体状態である水素やアンモニアは、輸送効率向上のために液化されますが、液体状態でも従来燃料に比べて体積が大きくなるため、貨物スペースを圧迫しない革新的な液体燃料タンクの開発が必要となる。

さらに、LNG燃料船はすでに実用化されていますが、カーボンリサイクルメタンを活用して実質ゼロエミッション化するためにはメタンスリップの課題を克服する必要が生じる。

これらを踏まえて次世代船舶の社会実装を進めるため、NEDOは今回、国土交通省が策定した研究開発・社会実装計画に基づく「次世代船舶の開発」の公募を行い、合計4テーマを採択した。


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