2022年3月10日 【JAXA】「MOMO」運用企業と小型ロケット用エンジンシステム技術の研究開発

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は観測ロケットを国内民間企業で初めて宇宙空間に到達させたインターステラテクノロジズ㈱(IST)との間で、新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J‐SPARC)」の枠組みのもと、小型ロケット用エンジンシステム技術の研究開発に関する共創活動を開始した。

ISTは低コストな小型ロケット用エンジンシステム技術を、現在開発中の超小型人工衛星打上げロケットZEROの開発に活用し、早期の実機打上げを目指す。JAXAは獲得した成果を基盤技術として蓄積し、民間宇宙輸送サービス事業やJAXAの将来宇宙輸送系への適用など、日本全体の宇宙輸送事業の発展に貢献する。

ISTとJAXAは、2019年2月よりJ‐SPARCの共創活動(フェーズ1)を通じて、小型ロケットエンジンの主要コンポーネントである噴射器、燃焼室、ターボポンプを対象にした研究開発に取り組んできた。

この共創活動ではJAXA角田宇宙センターの試験設備を活用し、JAXAはこれまでのロケットエンジン研究で取得した技術の社会実装に向けた試行と将来の基盤技術としての小型ロケット用エンジン技術の研究開発を、ISTは現在開発中の超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」に適用するロケットエンジンを想定した仕様の設定や技術の研究開発を、それぞれ実施した。

今回、これらの主要コンポーネント技術の実用化への目途が得られたことから、次の共創活動(フェーズ2)として、個々の技術をシステムとしてインテグレートした小型ロケット用エンジンシステムの研究開発に取り組むこととなった。

同フェーズでは、JAXAとISTそれぞれがエンジンシステムを構成するコンポーネントの設計・製作を行い、JAXAが角田宇宙センターでエンジンシステムとしての組立と試験を実施。得られた試験結果を両者で共有する。

こうした取組により、それぞれ単独で実施するよりも広範囲の試験データを効率的に取得し、低コストで実用的なエンジンシステム技術の獲得を目指す。

ISTは、圧倒的に低価格で便利な宇宙輸送サービスにより宇宙へのインフラを構築し、誰もが宇宙に手が届く未来の実現を目指すスタートアップ企業。北海道大樹町に本社を置き、東京支社と福島支社、室蘭技術研究所(室蘭工業大学内)の4拠点で開発を進めている。観測ロケット「MOMO」は2019年5月に国内民間企業で初めて宇宙空間に到達、2021年7月には2機連続での宇宙到達に成功した。次世代機となる超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」も初号機打上げに向けて開発を本格化させている。

また、J‐SPARCは、宇宙ビジネスを目指す民間事業者等とJAXAとの対話から始まり、事業化に向けた双方のコミットメントを得て、共同で事業コンセプト検討や出口志向の技術開発・実証等を行い、新しい事業を創出するプログラム。2018年5月に始動し、これまでに30を超えるプロジェクト・活動を進めている。


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