2021年6月8日 【電通大】たった一言で複雑なパーソナリティを数値化

気通信大学大学院情報理工学研究科と人工知能先端研究センターの坂本真樹助教らはテキストデータからパーソナリティを推定する技術を開発した。例えば、「さっぱりした人」といった一言を数値化できるとともに、「すっきりした人」「あっさりした人」といったように、似ている表現の違いも数値化することによって可視化することが可能となる。これまで数十個の項目で回答が必要だったパーソナリティの評価をより簡単に行うことができるようになる。

これまでの研究では、パーソナリティは、外向性、協調性、勤勉性、情緒安定性、知性の5因子で分類されてきた。今回開発した技術では、形容詞よりも微細に感性を分類できるオノマトペ(擬音語・擬態語の総称)を用いて、「さらさらした人」「ふわふわした人」のように、微細なパーソナリティをさまざまな形容詞尺度で数値化することで、個人の多様性を捉えることができる。

この技術を応用し、坂本研究室発ベンチャー、感性AI㈱(本社:東京都調布市)でサービス展開する。

パーソナリティの評価に関する研究は、形容詞100語から「外向性」「協調性」「勤勉性」「情緒安定性」「知性」の5因子を抽出し、これら五つのカテゴリで評価する手法が確立し広く用いられている。

一方で、このパーソナリティ評価手法は、多数の形容詞を通して評価する必要があるため、回答項目が多く、被験者への負担が大きいという課題がある。また、パーソナリティを少数の因子に集約するため、多様性をとらえた評価を行いにくいという問題点もみられていた。

オノマトペは、「さっぱりした人」「ほんわかした人」など、日常会話で性格を表す際などに頻繁に使われている。オノマトペを使った表現を用いる方が、パーソナリティをより微細に記述したり、伝達したりできることが知られており、性格記述語のデータベースには多くのオノマトペが収録されている。そこで坂本助教らの研究では、オノマトペを用いたパーソナリティの評価手法の提案を目指した。

オノマトペを用いた評価を行っている先行研究には、任意のオノマトペの感性的印象を数量化する手法があり、そこでは視触覚に関する尺度を中心としてオノマトペの印象評価が行われている。

この研究では、この手法をパーソナリティ評価に応用し、定量的に多様なパーソナリティを可視化するシステムを構築した。①パーソナリティ評価尺度の選定、②実験で被験者に回答してもらうオノマトペの選定、③実験・パーソナリティ情報の数量化―の三つの手順で行われ、はじめにシステムで用いるパーソナリティ評価尺度を選定し、続いて、実験で被験者に回答してもらうオノマトペを選定。そのうえで、これらを用いた被験者実験をし、そのデータを元にパーソナリティ情報を数量化し、これをデータベースとしてシステムを構築した。

定量化された結果が出力されるシステムを構築

これらの研究を通して、たった一語のオノマトペからパーソナリティ評価を行う「オノマトペパーソナリティ評価シス テム」を構築。被験者の負担を最小限にし、個人の多様性を捉えて微細な印象まで反映した、より便利なパーソナリティ評価が可能になった。

例えば、「おっとり」「ぐいぐい」などと入力すると、パーソナリティ情報が数値化された結果が得られる。複数のパーソナリティの評価尺度で、定量化された結果が出力されるシステムが構築できたといえる。


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