2021年11月1日 【近畿大】ソフトウエア開発での効率的ネット検索方法を明らかに

 

近畿大学理工学部情報学科の角田雅照准教授らの研究グループは、ソフトウエア開発での効率的なインターネット検索方針を明らかにした。ソフトウエア開発時には、常に最新の開発技術の知識を得るためのウェブ検索が必須であり、検索の巧拙が開発効率に影響する。ソフトウエア開発技術者の人員不足が問題となるなかで、開発効率を向上させるウェブ検索方針を明示することができれば、全体的な生産力アップのサポートにつながるとみられる。

この研究成果に関する論文が10月29日に電子情報通信学会が発行する英文論文誌「IEICE Transactions on Information and Systems,Vol.E105‐D No.1」でオンライン公開された。

ソフトウェア開発者の確保が重要課題に

ここ数年、ソフトウエア開発の人員不足が指摘されており、いかにしてソフトウエア開発者を確保するかが重要な課題となっている。また、ソフトウエア開発者の生産性は個人により大きく異なり、最大で10倍ほど効率に違いがあるという指摘もある。ソフトウエア開発では最新の開発技術の知識が必要となるが、それらの情報の多くはインターネット上に存在するため、ウェブ検索が欠かせなく、検索の巧拙が開発効率に影響する。

そこで、適切な検索方針を明らかにし、開発効率の個人差を改善することができれば、ソフトウエア開発全体の生産性向上と業務効率化につながることが期待される。

角田准教授ら研究では、不適切なウェブ検索方針による開発効率の低下に着目し、開発者の検索方針を分析することで、検索効率がソフトウエア開発効率にどのように影響するかを実験した。

実験では、「修正すべき点のあるプログラム」を4問用意し、情報科学を専攻する20代の大学生10人がウェブ検索を行ったうえで、プログラムの修正にかかる時間を計測した。例えば、実験で与えたプログラムでは〝小数を含んだ計算結果が誤っています(2.0マイナス1.1の結果が0.9となりません)。正しい計算となるようなプログラム方法をウェブ検索で発見してください〟という問題を出題した。

その結果、以下の3項目を検索方針とすると、ソフトウエアの開発時間を短縮できる可能性が示されました。

(1)ウェブ検索の結果は複数のページに分割して示されるが、最初の数ページに期待する結果が含まれていない場合は、次ページ以降も参照することは避けたほうがよい。

(2)ウェブ検索時には多くの単語を用いないほうがよい(例:「Java プログラム 誤差 おかしい」よりも「Java 誤差」のほうが好ましい)。

(3)検索をやり直す場合、以前用いたキーワードは含めず、言い換える方がよい(「Java 計算 おかしい」で検索してうまくいかない場合、「計算」と「おかしい」を言い換えて「Java 小数点 誤差」などにする)。

このことから、適切な検索方針を用いることで効率的に検索ができ、ソフトウエアの開発時間を短縮できる可能性があるといえる。

今回の研究結果から、ソフトウエア開発時には、生産性を高め迅速な処理を行うために適切な検索方針を用いることが望まれることが浮き彫りとなった。効率的なインターネット検索を行うことで、開発効率を向上させることができれば、全体的な生産力の底上げにつながり、開発者の人員不足解消の一助となることが期待される。


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