2022年11月14日 【筑波大】コロナ禍で高齢者の移動動作能力が通常の1年の3倍以上低下

2020年1月の国内初確認以来、流行のたびに社会を混乱させている新型コロナウイルス感染症だが、コロナ禍は実際の疾患だけでなく、高齢者の移動動作能力にも大きな影響を及ぼしていることが、筑波大学教授の調査で明らかとなった。コロナ禍で高齢者の移動動作能力が通常の1年の3倍以上低下したことがわかった。

COVID-19流行下で、高齢者は外出自粛による身体活動量の減少、下肢機能の低下、フレイル(虚弱)の進行など、健康に大きな影響を受けたことが報告されている。しかし、それらはアンケート調査による高齢者の主観に基づく評価であったため、具体的な機能低下の実態は、十分に分かっていなかった。

そこで筑波大学体育系の大藏倫博教授は、COVID-19流行前から毎年実施している体力測定のデータ(茨城県笠間市在住の男性107人、女性133人、平均年齢73.2歳)を用いて、2016年からCOVID-19流行下の2020年にかけて、高齢者の各種体力の推移を調べた。

調査の結果、複合的な移動動作能力を評価する「Timed Up & Go」という体力テストの成績が、通常の1年間では平均して男性で0.05%、女性で0.12%遅くなる(=機能が低下する)ことに対して、COVID-19流行下の2019年から2020年の1年間では、男性で0.7%(+0.42秒)、女性で0.36%(+0.22秒)遅くなることが分かった。

すなわち、COVID-19流行下では、通常の1年間の加齢変化よりも、移動動作能力が3倍以上低下したこととなる。ほかにも同様の顕著な体力低下は、男女ともに5㍍通常歩行時間(歩行能力)や長座体前屈(柔軟性)でもみられ、さらに、女性でのみ、握力(上肢筋力)や48本ペグ移動(手指巧緻性)でも確認された。

この研究により、今後のウィズコロナ時代に向けて、体力の維持・向上を意図した介護予防プログラムを優先的に行うことの必要性が示唆された。

 


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