2021年9月30日 【東工大】産学連携でオーロラ観測用紫外線カメラ開発 10月1日打ち上げへ

 

東京工業大学とエイブリック㈱(本社:東京都港区)は、超小型衛星搭載用のオーロラ観測用紫外線カメラ『UVCAM』を共同開発した。このカメラは東工大が開発した可変形状実証衛星「ひばり」に搭載し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の革新的衛星技術実証2号機の実証テーマとして、10月1日に内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられる予定。

紫外線カメラ『UVCAM』を搭載した可変形状実証衛星「ひばり」は、300~340ナノメートルの近紫外線帯で、衛星軌道上から北極・南極上空に現れるオーロラの紫外線発光を観測し、地球磁気圏と荷電粒子の相互作用などを観測する。

今回のプロジェクトは、紫外線での天体観測のための基礎実験として、紫外線に感度をもつ小型カメラ『UVCAM』をエイブリックと東工大で共同開発し、高度550~565㎞の宇宙空間から高層大気からの輝線放射や高緯度地域上空のオーロラからの紫外線などを計測する。

検出困難だった「天体爆発時の放射赤外線」

東工大理学院 河合・谷津研究室では、マルチメッセンジャー時間領域天文学のための飛翔体搭載観測装置の研究開発を2012年から行っており、特に地上からは観測のできない高エネルギー放射を捉えることをテーマに研究を進めてきた。

例えば、超新星や重力波現象の様に瞬間的に莫大なエネルギーが放出されると、天体表面の温度は瞬時に加熱され、紫外線や軟エックス線などで光り輝くと考えられている。爆発の瞬間に放射される紫外線をいち早く探索することで未知の天体現象を探し出すために、独自の紫外線天文衛星の開発を計画していたが、紫外線は物質中で吸収されやすく、従来のシリコンセンサではその検出が困難だった。

そこで、エイブリックと東北大が共同開発した信号差分型の紫外線フォトダイオードにも導入している紫外線高感度・高耐光性技術を用いたCMOS画像センサが採用された。この画像センサは、シリコンフォトダイオードの表面高濃度不純物層の構造・形成方法やパッシベーション膜の透過特性を工夫することで、表面照射型センサでありながら、可視光から190ナノメートルまでの紫外線に感度を持たせることが可能。

『UVCAM』を搭載した可変形状実証衛星「ひばり」は、10月1日にJAXA内之浦宇宙空間観測所からイプシロンロケット5号機によって打ち上げられる予定。ロケットからの衛星分離後、太陽電池パネルが展開されるまでのクリティカルフェーズ運用が行われる。

その後、システム健全性を確認したうえで、姿勢制御実験やAI利用姿勢計測実験、紫外線天体観測を順次開始する。


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