2022年10月11日 【東北大】世界一のベクトル型スパコンが誕生! 社会を支えるインフラとして防災減災にも貢献

■ポイント□

〇スカラ型(※)の「富岳」とは得手不得手の異なる特色のあるベクトル型(※)のスパコンを来年8月に大幅に増強することで、ベクトル型としては世界一の性能を達成

〇既設のスパコンと比較して14倍以上の性能向上によって、スパコン本来の用途である科学技術計算のさらなる大規模化と高速化を実現しつつ、データ駆動科学や人工知能(AI)といった新しい応用分野にも利用範囲を拡大

〇他のスパコンにはない特徴的な機能として、学術目的の利用を地震等の緊急時には一旦中断し、津波浸水被害推計等の防災減災のための緊急対応を実行する機能を実現。今回の大幅な増強により、Society 5.0時代の安全安心を支える社会インフラとしてもさらなる活用方法の開拓を期待

 

東北大学サイバーサイエンスセンターは、カタログ上の性能ではなくて実際に使った時の性能を重視し、ベクトル型のスーパーコンピュータ(スパコン)を整備・運用してきた。同センターで現在運用しているベクトル型スパコン(通称AOBA)は科学技術計算で実際に高い性能を達成できるため、日本全国の利用者からの高い支持を得てきた。この高い需要に応えるために、来年8月からベクトル型スパコンを大幅に増強する。

性能は14倍以上になり、ベクトル型スパコンとしては世界最大の規模となる。世界最大のベクトル型スパコンを整備するだけにとどまらず、活用技術に関する世界的拠点を東北大に形成することも目指し、産学連携を今後さらに進めることとしている。

特に、近年はデータ駆動科学やAIといった新しい応用分野でのスパコン需要も拡大していることから、それらの分野におけるベクトル型スパコンの活用技術を開拓。他のスパコンにはない特徴的な役割として、同センターのスパコンAOBAは、緊急時には減災のための社会基盤として機能することもできる。

平時は学術目的で利用しつつ、地震等の災害時には緊急対応として減災のためのシミュレーションを実行する。

今回の大幅な増強によって、そのような新しいスパコンの使い方もより広く検討できるようになり、Society 5.0時代の安全安心を支える社会インフラとしてもさらなる活用方法の開拓が期待されます。

※ スカラ型とベクトル型:多くのデータをまとめて処理する「ベクトル命令」を持つプロセッサ(CPU)をベクトル型プロセッサと呼び、それを搭載するスパコンをベクトル型スパコンと呼ぶ。その対義語はスカラ型である。富岳のプロセッサなど、スカラ型に分類されるプロセッサでもベクトル命令(SIMD命令)を持つものもあり、両者の違いはあいまいになりつつある。しかし、最新のスカラ型では最大8個のデータをまとめて処理するのに対して、ベクトル型では256個ものデータをまとめて処理することができる。また、そのような大量なデータに一括してアクセスするためのメモリ性能も強化されており、科学技術計算において高い性能を期待できる。


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