2022年4月7日 【慶大病院】糖尿病・肥満症外来で「血糖クラウド管理システム」を活用したインスリンポンプ療法のオンライン診療を開始

慶應義塾大学病院、中部電力㈱とメディカルデータカード㈱は、慶應義塾大病院の糖尿病・肥満症外来で使用するオンライン診療システムを日本メドトロニック㈱のケアリンクシステムと連携できるよう拡充し、1型糖尿病などの治療のため持続グルコースモニタリング機能搭載インスリンポンプ療法(SAP療法)を使用する患者に対するオンライン診療を開始した。

慶應義塾大病院、中部電力およびメディカルデータカードは、慶應義塾大学病院でのオンライン診療システムを構築。2020年6月に産科外来、2020年11月に糖尿病・肥満症外来でオンライン診療を開始した。

また、日本メドトロニックは24時間の血糖・インスリン投与データをクラウドへ集積するシステム「ケアリンクシステム」を運用しています。

本オンライン診療システムは、「ケアリンクシステム」と中部電力のデータプラットフォームおよびメディカルデータカードの「MeDaCa」を連携することで、患者が入力した血圧・体重・血糖値、SAPから得られる24時間の持続グルコース値・インスリン投与量などのデータを集約し、正確なデータを閲覧しながらテレビ電話でオンライン診療が可能となるシステム。

SAP療法は、きめ細やかな血糖コントロールが可能となる高度医療であり、1型糖尿病などの患者への普及が期待される一方、距離・頻度など通院時の患者の負担感に加え、専門医が不在のエリアでは受診が困難という課題があった。このため、SAP療法についてもオンライン診療の導入が求められていた。

ケアリンクシステムはインスリン投与量の指示に必要な情報を遠隔で把握することを可能とし、オンライン診療を実現するもの。一方で、ケアリンクシステムでデータを閲覧するためには、医師が診察の都度、システムにログインして該当患者や適切なデータを検索する必要。他の糖尿病関連データシステムとの使い分けやカルテと異なるID管理を医師が行う必要があるため、医療現場において短い診察時間でデータの管理や確認作業に労力を要するという課題があった。

さらに、患者が自宅で測定する血圧や体重などの測定データの共有とテレビ電話での診察は、他システムを介して別途行う必要があることから、短い診察時間での対応が困難という課題も抱えている。

今回、慶應義塾大学病院主導のもと、中部電力と日本メドトロニックは、人が行う入力作業をAIや機械学習により代行する機能「RPA技術」を活用し、中部電力クラウドが連携するメディカルデータカードのMeDaCaシステムを介してレポートを一元的に画面上に表示する仕組みを構築した。

これにより、従来の血圧・体重・血糖値といった患者の集約された自己測定データに加え、SAPから得られる24時間の持続グルコースデータ・インスリン投与量を併せて閲覧することが可能となり、これらの正確なデータを閲覧しながら、テレビ電話機能により遠隔地や医療過疎地に住む患者にも対面と同等のクオリティの医療が可能となる。

このデータの一元化による利便性の向上により、医師の業務効率の向上とストレスが軽減される事で高度医療技術を習得した医師等の限られた医療資源の活用や、診察日以外の専門看護師による細やかなケアを行うことで対面診察以上の質の高い診療の実現が期待される。

また、SAP療法使用の中心となる1型糖尿病患者は社会で活躍する若い人が多く、通院頻度が削減される事で仕事や生活への影響を軽減し、社会経済効果も期待される。


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