2021年6月7日 【岩手医大】36万人規模の大規模ゲノムコホートを構築 個別化医療・予防の早期実現に向け国内6研究機関が連携

岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)と東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)、名古屋大学が事務局を務める日本多施設共同コーホート(J-MICC)研究など国内6研究機関は、各コホート研究で収集した情報を相互利用するための包括的な協働研究の枠組み(国内ゲノムコホート連携)を構築した。

今年3月に契約を締結したもので、IMM、ToMMo、J-MICCをはじめ、国立がん研究センターが取りまとめる多目的コホート(JPHC)研究、慶應・鶴岡メタボロームコホート(TMC)研究、愛知県がんセンター病院疫学(HERPACC2、3)研究が参画している。

この連携により、36.6万人規模のゲノムコホートデータを6機関で順次相互利活用することが可能となり、日本人の疾患発症に影響を与える遺伝的素因の解明や、発症リスク予測モデルの構築などのゲノム疫学研究を促進。一人ひとりの体質に合わせた個別化医療・個別化予防やリスク予測などの次世代医療の早期実現へ貢献することが期待される。

岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)は、東日本大震災の復興支援事業である東北メディカル・メガバンク(TMM)計画の一環として、東北大東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と共同で、文部科学省、復興庁、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援の下、2013年度から岩手県・宮城県の被災地を中心とした大規模健康調査を実施。地域医療の復興に貢献するとともに、個別化医療等の次世代医療の基盤構築を目指してきた。

現在、次世代医療実現に向け、数十万~百万人の大規模ゲノム解析を目指すプロジェクトが世界各国で行われていますが、ここ数年開発されたゲノム情報に基づく疾患発症リスク予測法である polygenic risk score(PRS)が異なる民族集団のモデルを用いた場合に精度が低くなること、また構築したモデルの前向きコホートでの検証が重要であることが判明したため、日本人の次世代医療実現には、日本で数十万人規模のゲノムコホート研究を早急に進めることが必要とされていました。

TMM計画のコホート研究では、2016年までに15万人の参加登録を達成した。その後、現在までに15万人のゲノム解析を実施し、国内最大級の次世代医療研究の基盤となっているが、ベースライン調査(2013-2016年度)からの経過年数が浅いため、罹患情報が十分に登録されているとは言い難い状況。

また、TMM計画以外の日本国内でのゲノムコホート研究では、1機関で数十万人規模のゲノムコホート研究は実施されていなかった。

今回の連携により、TMM計画、J‐MICC研究、JPHC研究、TMC研究、HERPACC2、3研究の研究者が互いのコホート情報やゲノム情報、罹患情報などを利用可能となることで、双方のゲノム疫学研究が推進され、次世代医療の早期実現へ貢献することが可能となる。

また、この連携は、大規模コホート研究データの相互利活用の方法として草分け的な事例になると考えられ、今後他のコホート研究への波及も期待される。

 

 

 


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