2022年12月13日 【千葉大】子どもの不安問題予防認知行動療法プログラム「勇者の旅」短縮版の効果を確認

千葉大学子どものこころの発達教育研究センターの浦尾悠子特任講師、同大大学院医学研究院認知行動生理学の吉田理子非常勤講師、同清水栄司教授、慶應義塾大学佐藤泰憲准教授の研究チームは、子どもたちが抱える不安の問題を予防するための認知行動療法(CBT)プログラム「勇者の旅」の短縮版を用いて、小学校での効果検証を行った。その結果、1セッション20分、全14セッションで構成する短縮版プログラムについても、学童期の子どもの不安を軽減する効果があることを示した。

この研究成果は10月25日に、学術誌「BMC Psychiatry」に掲載された。

■研究の背景

不安症(不安障害))は、⼦どもにも⼀般的にみられる精神疾患。⼦どもの不安の問題は⾃尊⼼に悪影響を及ぼし、学業成績の不振につながる場合がある。また、社会と関わることを避けたり、友だちとの関係づくりが難しくなったり、学校も⽋席しがちになる⼦どももいる。

研究チームは2014年に、⼦どもを対象としたCBTに基づく予防介⼊プログラムである「勇者の旅」を開発し、学校現場に導⼊した。このプログラムには⼀定の効果があるものの、1セッションに45分間かかる上、すべてのプログラムを終了するまでに10週間かかっていた。通常の授業カリキュラムをこなすことも⼤変な⽇本の学校現場で、予防プログラムのために授業時間を割くことは⾮常に難しいという問題があった。

そこで研究チームは、学校現場に導⼊しやすいよう、朝学活などの短時間でも実施可能な短縮版「勇者の旅」プログラムの効果検証に着⼿した。

■研究成果

チームは20分間のセッションを週1回、計14週間で終了する構成とし、⼩学校に通う5年⽣(10-11歳)の⼦ども90名を対象に、朝学活の時間帯にプログラムを実施した。⼦どもたちは「勇者の旅」プログラムを受ける介⼊群と、受けないコントロール群とに分けられた。プログラム実施前と実施後、さらにプログラムを受けてから2か⽉後に、⼦どもたちにアンケートを⾏って、不安症状や⾏動問題の度合いを評価した。

2か⽉の追跡調査の結果、介⼊群の⼦どもの不安症状が、コントロール群に⽐べて、統計的に有意に減少していることが確認された。また、⾏動問題でも同様の傾向が認められた。これは、「勇者の旅」プログラムが短縮され実施された場合でも、先⾏研究と同様に効果があることを⽰唆している。


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