2022年3月18日 【ソフトバンク・北里大・慶応大】スマホで取得したデータからフレイルリスクを判断 アルゴリズム開発へ実証実験

ポイント□

○スマホ取得データからフレイルリスクを判断

○アルゴリズム開発へ実証実験

○自動判定と改善傾向の可視化実現を目指す

 

ソフトバンク㈱と北里大学は、慶應義塾大学殿町先端研究教育連携スクエアの協力の下、高齢者のフレイル(加齢により心身が衰えた状態)予防に向けた取組として、スマートフォンで取得したデータからフレイルリスクを判定できるアルゴリズムの開発に向けた実証実験を開始した。

ソフトバンクと慶應大は、2019年12月に「理想的なライフデザインの実現をサポートするAIサービスの社会実装に向けた包括連携協定」を締結しており、今回の実証実験はその一環として、北里大を交えた三者の共同研究として取り組んでいる。

フレイルは、加齢により心身が老い衰えた状態だが、日々の活動や定期的な運動による身体機能の維持などを行うことで予防できるとされている。一方で、高齢者がフレイルを認知する機会が少ないことや、フレイルを判定するデータが測定時点の限られた情報であること、予防や改善のための機会が限られていることなどから、フレイルが進行していても認知できず、改善に向けた対応が遅れたり、不可逆的な状況に陥ってしまったりしていることが危惧されている。

また、医療分野でも患者層の高齢化により、さまざまな病気とフレイルを合併して発症する患者が極めて多く、フレイルが治療や回復に大きな影響を与えていることが研究で明らかになっているが、フレイルの評価が日常臨床には十分浸透していないことや、フレイルの評価に十分な時間を割くことができないのが現状。

そこで、ソフトバンク、北里大と慶應大は、フレイルに関連する因子を連続的にセンシングできる身近な手段として、スマホを活用したフレイルリスクの自動判定と改善傾向の可視化を実現することを目指して、実証実験を開始した。

実証実験は、入院患者や通院患者、地域住民を対象に、昨年12月に開始して約1年間実施する予定。入院患者や通院患者、地域住民でフレイルの自覚に基づいた行動変容や、自治体や企業、専門家による効果的な早期介入、医療分野では全身状態の改善や悪化のモニタリング、さまざまな治療を行う上でのリスクの層別化などにつなげるべく、研究を進める。

実証実験では、歩行速度や歩行の安定性、身体活動量に加え、社会的なフレイルに関する情報などをスマホから自動的かつ連続的に取得し、AI(人工知能)を活用して、フレイルの有無やフレイルリスクのレベルを自動で判定できるアルゴリズムの開発を行う。

アルゴリズムの開発では、北里大医療衛生学部リハビリテーション学科の神谷健太郎教授の研究チームが、医療分野での教師データとして、多くの医療情報や高精度の動作解析装置を併用し、わずかな状態の変化も検知できる仕組みを研究している。このアルゴリズムについては、2022年度中の完成を目標に早期実用化を目指す。

また、フレイル状態を可視化できるアプリの開発も行い、高齢者が自身の健康状態を認知できる取り組みも行う。

北里大の神谷 健太郎教授の研究チームで培われたフレイル研究の医学的知見と、ソフトバンクのAI技術を活用することで、医学的エビデンスに裏付けられたアルゴリズムを開発するとともに、研究の対象を入院患者から通院患者、健常者まで順次拡大することで、さまざまなデータを取得して、アルゴリズムの精緻化を進める。アルゴリズムの社会実装に関する統括は、慶應大の宮田裕章教授の研究チームが行い、早期実用化を進める。

ソフトバンク、北里大、慶應大は、フレイル予防によって健康寿命を延伸し、人々が心身ともに健康に生活できる社会を目指して、共同研究を推進する方針だ。


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