2023年3月7日 JICA、59事業を採択 中小企業・SDGsビジネス支援

国際協力機構(JICA)は、昨年9月に募集した中小企業・SDGsビジネス支援事業について、合計59件の採択を決定した。59件中52件が中小企業に対する支援事業。中小企業への支援件数は延べ1117件となり、これまでに全都道府県の中小企業からの提案が採択されている。

この事業は、開発途上国の課題解決に貢献する日本の民間企業等のビジネスづくりを支援し、また、政府開発援助(ODA)を通じて築いてきた開発途上国政府とのネットワークや信頼関係、ノウハウ等を活用した価値の共創に取り組んでいる。

採択したのは、ニーズ確認調査23件、ビジネス化実証事業24件、普及・実証・ビジネス化事業(中小企業支援型)11件、普及・実証・ビジネス化事業(SDGsビジネス支援型)1件。

「普及・実証・ビジネス化事業」は、技術・製品・ノウハウ等の実証活動を含むビジネスモデルの検証、 提案製品等への理解の促進等を通じた事業計画案を策定するもの。「ニーズ確認調査」は、基礎情報を収集し、開発途上国のニーズと製品/サービスとの整合性を検証した上で、初期的な事業計画を策定するもの。「ビジネス化実証事業」は、開発途上国の課題解決に貢献し得るビジネスの開始に向けて、製品/サービスに対する顧客の受容性を確認した上で、製品/サービスの提供体制構築及び収益性確保の目途を立て、事業計画の精度を高めるもの。

2022年度は、制度の利便性の向上、ビジネス化の一層の促進及び開発インパクトへの貢献をさらに高めていくため試行的な制度改編を行い、普及・実証・ビジネス化事業に加えて、新たに「ニーズ確認調査」及び「ビジネス化実証事業」を募集した。

 

東南アジア、アフリカなどの農業、インフラ整備・運輸交通

JICAによると、応募の傾向として「ビジネス化実証事業」でスタートアップ企業の応募が目立ったという。

例えば、大学発のベンチャー企業である(株)エコロギー(本社:東京都新宿区)は、カンボジアにおいて、養殖コオロギを活用した循環型食糧生産システムに関する調査を通じ、タンパク質素材として世界的に注目されるコオロギ原料の産業化や、食品、ペットフード用途の原料ビジネスの展開を計画している。それにより同国の農家の収入向上や多角化とフードバリューチェーン構築への貢献を目指す。

また、世界の犯罪を減らすためのソリューション開発に取り組む(株)Singular Perturbations(本社:東京都千代田区)は、ブラジルにおいて、AI犯罪予測で警察のパトロール業務を効率化する業務管理システムにより警察業務のデジタル化を促進し、犯罪検挙率を高め犯罪の減少に貢献することで、安全・安心なスマートシティとしての都市・地域開発の実現にも貢献し得る実証事業を計画している。

今回採択された案件の地域別割合をみると、東南アジア(52.5%)、アフリカ(13.6%)、南アジア(11.9%)、中南米(10.2%)、東・中央アジア(8.5%)。分野別では、農業、インフラ整備・運輸交通(各16.9%)が最も多く、保健医療(13.6%)、防災・災害対策(11.9%)、廃棄物管理(10.2%)と続く。


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