2024年2月27日 2月の月例経済報告 景気はこのところ足踏みも緩やかに回復

内閣府がまとめた2月の月例経済報告によると、個人消費で持ち直しに足踏みがみられる一方、公共投資が底堅く推移していることなどを要因として、「景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している」と基調判断を据え置いた。また、先行きについては、「雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある。」としている。

日本経済の動向についてみると、個人消費では、「四半期別GDP速報」(2023年10~12月期1次速報)では、民間最終消費支出の実質値は前期比0.2%減となった。また、「消費動向指数(CTI)」(12月)では、総消費動向指数(CTIマクロ)の実質値は前月比0.1%減となっている。

個別の指標について、需要側の統計をみると、「家計調査」(12月)では、実質消費支出は前月比0.9%減となった。販売側の統計をみると、「商業動態統計」(12月)では、小売業販売額は前月比2.6%減となった。

設備投資について、需要側統計である「法人企業統計季報」(7~9月期調査、含むソフトウェア)でみると、2023年7~9月期は前期比1.4%増となった。業種別にみると、製造号は同0.4%減、非製造業は同2.4%増となっている。

機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。ソフトウェア投資は、増加している。

住宅建設について、持家及び分譲住宅の着工は、弱含んでいる。貸家の着工は、横ばいとなっている。総戸数は、12月は前月比3.1%増の年率81.4万戸となった。なお、首都圏のマンション総販売戸数は、おおむね横ばいとなっている。

公共工事について、12月の公共工事出来高は前月比0.9%増、1月の公共工事請負金額は同4.5%増、12月の公共工事受注額は同22.4%増となった。

公共投資の関連予算をみると、公共事業関係費は、国の令和5年度一般会計予算では、補正予算において約2.2兆円の予算措置を講じており、補正後は前年度比2.5%増となっている。また、令和6年度一般会計予算の公共事業関係費は、当初予算案では、前年度当初予算比0.0%増となっている。さらに、令和6年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比0.8%増となっている。

輸出について、地域別にみると、アジア向けの輸出は、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。アメリカ向けの輸出は、増加している。EU向けの輸出は、このところ弱含んでいる。その他地域向けの輸出は、おおむね横ばいとなっている。

輸入について、地域別にみると、アジア及びアメリカからの輸入は、おおむね横ばいとなっている。EUからの輸入は、このところ持ち直しの動きがみられる。

鉱工業生産について、鉱工業生産指数は、12月は前月比1.4%増となった。鉱工業在庫指数は、12月は前月比1.2%減となっている。また、製造工業生産予測調査によると1月は同6.2%減、2月は同2.2%増となることが見込まれる。

企業収益について、上場企業の2023年10~12月期の決算をみると、経常利益は、製造業は前年比で増益、非製造業は前年比で減益となった。「日銀短観」(12月調査)によると、2023年度の売上高は、上期は前年比3.5%増、下期は同1.6%増が見込まれている。経常利益は、上期は前年比11.0%増、下期は同3.9%減が見込まれている。

企業の業況判断について、「日銀短観」(12月調査)によると、「最近」の業況は、「全規模全産業」で上昇した。3月時点の業況を示す「先行き」は、「最近」に比べやや慎重な見方となっている。また、「景気ウォッチャー調査」(1月調査)の企業動向関連DIによると、現状判断は低下したが、先行き判断は上昇した。

倒産件数について、1月は701件となった。負債総額については、1月は791億円となった。

雇用情勢について、完全失業率は、12月は前月比0.1%ポイント低下し、2.4%となった。労働力人口、就業者数と完全失業者数は減少した。

就業率は緩やかに上昇している。新規求人数及び有効求人倍率は横ばい圏内となっている。民間職業紹介における求人動向は持ち直している。製造業の残業時間は減少した。

賃金をみると、定期給与及び現金給与総額は増加している。実質総雇用者所得は、このところ持ち直しの動きがみられる。

「日銀短観」(12月調査)によると、企業の雇用人員判断DIは、12月調査で▲35と、9月調査(▲33)から2ポイント不足超幅が拡大している。


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