2019年8月28日 重度障害者の通学・就労の支援 大阪府が独自制度を導入へ 国にも対応を要請

大阪府は重度障害者の通学、通勤、就労をヘルパーが支えるサービスを公費で賄う独自制度の創設に向けた検討を開始した。

「来年度から実施したい。財源論も含めて具体的な制度設計に入る」。

吉村洋文知事が今月7日の会見でそう表明した。また「本来は国全体で認めるべきこと」とも述べ、同様の対応を政府に求めていく意向も示した。

きっかけは先の参院選で初当選した重度の障害を持つ木村英子議員、船後靖彦議員による障害福祉サービスへの問題提起だ。

重度訪問介護のルールでは現在、通学、通勤、就労などの支援が対象に含まれていない。木村議員、船後議員の国会活動に必要な支援にかかる費用は当面、参院が公費で負担していくこととなった。

これに対し2人は、「国会議員だけでなく全ての障害者に就労や就学を権利として認め、公費で社会参加できるようにすべき」と主張。障害福祉サービスの制度自体を改善するよう訴えている。

大阪府の吉村知事は会見で、「国民に広く認められていない公費負担が国家議員にだけ認められるのもおかしい。一般の重度障害者が受けられるサービスをまず作るべき」と指摘。「通勤、就労を認めるなら就学も認めるべきだ。大阪で率先して取り組みたい」と語った。

制度のディテールはこれから詰めていくという。吉村知事は会見で、スタート当初は就学の支援にウエイトを置いてリソースを配分すること、利用者の所得に応じて支給額に差をつけることなどを俎上に載せると説明。「必要な財源の規模を見積もるよう事務方に指示している。それを踏まえて調整していきたい」と話した。

 

■「厚労省で検討している」

一方、政府も既に重度障害者の通学、通勤、就労などの支援をいかに充実させるか議論していく構えをみせている。根本匠厚生労働相は今月2日の会見で、「障害者がより働きやすい社会を目指す」と意欲をみせた。

15日の閣議では、木村議員など複数の議員による今後の対応を問う質問主意書への答弁書を決定している。

この中では、「現在、厚生労働省において必要な検討を行っている」と説明。重度訪問介護のルールを見直すかどうかは明記せず、「個人の経済活動に関する支援を公費で負担すべきか、障害者を雇用する事業主が合理的配慮として対応すべきか、などの課題がある」と慎重論も紹介した。


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