2017年2月7日 脳の市民研究制度『BHQ』開設 健康生活習慣を発掘する「市民科学」を立ち上げ

東京工業大学及び京都大学が参加している内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT 山川プログラム)の企画のもと、一般社団法人ブレインインパクト(山川義徳理事長)が、脳を健康にするライフスタイルを科学的に発掘するための活動の一環として、脳の市民研究制度『BHQスクール』を開始する。

BHQスクールでは、これまで専門家によって進められてきた脳の健康に関する研究に、市民らにも参加してもらう。ImPACT山川プログラムが国際標準規格として提案している手法で開発された脳の健康指標(BHQ:Brain Healthcare Quotient)を用いることで、例えば、脳の健康状態に応じた食事や運動の方法、脳の健康を守るために最適な睡眠時間、脳の健康によい趣味や生活環境など、脳の健康を維持・向上させるさまざまなソリューションの発掘及び実証を行う。

また、市民による研究活動を専門家の視点からも科学することで、脳の健康に関する新しい研究の方向性も探索する。このようにBHQスクールを通じて、深い学術的知見を有する脳の専門家と、多様な視点を持った市民の科学との交流という新たな研究開発スタイルを実践する方針だ。

具体的に、BHQスクール参加者は、BHQ取得のためMRI(磁気共鳴画像法)による撮像を行い、〝自身のBHQ〟や〝BHQから推定される脳年齢〟などの情報から自身の脳の健康状態を知ることができる。さらに、自らの生活改善によるBHQ変化を参加者同士で共有することで、脳によいライフスタイルの科学的発掘及び実証を進める。

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■BHQを用いた脳の健康状態の把握 ImPACT山川プログラムでは、すでに約150人分のBHQデータを解析し、全体的には年齢が高いほどBHQが低下する傾向があることを確認した。これは年齢による脳の衰えを反映していると推測され、BHQが脳の健康状態を表す指標として適切であることを示している。

これらのデータを用いて、BHQスクールでは、参加者の脳が統計的に見て何歳程度に相当するかを推定脳年齢として算出。実年齢に比べて脳の健康がどのような状態にあるかを把握することが容易になる。さらに、今回の制度を通してより多くの人々がBHQを測定することで、将来的には加齢によって脳の健康がどのように変化するかなども明らかにできる。

■脳の健康によいライフスタイルの可能性 ImPACT山川プログラムでは、これまでに、企業を対象とした「BHQチャレンジ」として、非医療分野の製品やサービスを用いた脳の健康によいアイデアを幅広く募集し、提案内容が脳の健康に与える影響を科学的観点から評価する活動を行ってきた。2015年は、評価指標にGM‐BHQとFA‐BHQを用いて、オフィスでのストレッチやアートセラピーなど五つのアイデアについて、脳の健康への影響を評価した。

BHQスクールではこれらのデータをもとに、参加者それぞれのBHQに応じて効果が高いと予測されるライフスタイル情報を共有する。参加者にはその情報を参考にしてもらい、自身のアイデアを持って研究を推進。このように、取り組みの全体的な結果も参加者で共有することで、個々人の職業や生活習慣に応じた脳の健康状態に応じたソリューションを明らかにする。

■BHQスクールの企画・運営、大学の役割 東工大と京大はそれぞれImPACT山川プログラムに参加しており、同プロジェクトにはMRIの撮像拠点として参画。複数拠点でも運用可能な標準的な脳情報の蓄積と解析の手法の開発等に取り組み、脳情報のインフラ基盤構築を進める。東工大などでは、今後もより多くの拠点に参加いただけるよう連携を進めることとしている。


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