2020年8月24日 老後の医療・介護費が不安、60歳以上の3割超 「不安ない」の割合、年齢上昇で増加 高齢社会白書

政府は先月末、2020年版の「高齢社会白書」を閣議決定した。60歳以上の人に経済的な面で不安なことを複数回答で尋ねたところ、「自分や家族の医療・介護の費用がかかり過ぎること」との答えが30.8%にのぼったと報告されている。

このほか、「自力で生活できなくなると転居や老人ホーム入居の費用がかかること(26.0%)」、「生活費がまかなえなくなること(25.8%)」などの回答も目立つ。生活に余裕のない高齢者が少なくないのが実情で、介護保険の負担増などをめぐる議論は今度も難航しそうだ。

一方、「不安に思っていることはない」と答えた人も34.2%いた。この割合は、年齢が上がるにつれて男女とも高くなっていく傾向がある。

 

■ 就労する高齢層が増加

さらに、60歳以上の男女に現在の就業状況を尋ねたところ、「収入のある仕事をしている」と答えた人は37.3%だった。前回同じ項目を質問した2016年の調査と比べると、男女とも、ほぼ全ての年齢階級で収入のある仕事をしている割合が増えていた。

また、現在収入のある仕事をしている人に、仕事をしている理由を聞いたところ、「収入がほしいから」(45.4%)が最も多く、続いて「働くのは体によいから、老化を防ぐから」(23.5%)、「仕事そのものが面白いから、自分の知識・能力を生かせるから」(21.9%)といった順になった。性・年齢別に見ると、「収入がほしいから」とする割合は、男性の60~64歳の層で特に高いが、男女とも年齢が高くなるに従って就業の理由は多様化する傾向がみられる。

高齢社会白書は、日本の高齢化の状況や将来の見通し、国の対策などを詳しくまとめたもの。政府は毎年、クローズアップした一定のテーマに基づいて行う調査の結果を盛り込んでおり、今回は「高齢者の経済生活に関する意識」を調べた。

調査対象は全国に住む60歳以上の男女3000人。58.5%の1755人から有効な回答を得たという。


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