2020年6月8日 弾力化の考え方示す 文科省が教職大学院生の実習で

新型コロナウイルス感染症対策のため多くの小学校などの臨時休業が続く中、現役教員の更なる資質向上を目的に全国に設置されている教職大学院での教育実習生の受け入れも通常の方法では困難な状況となっている。このため、文部科学省では、実習授業の3分の1以内はオンライン通信によっても差し支えないなど、実習の実施方法の弾力化の考え方をまとめ、また、実習生を受け入れる連携協力校や教育委員会とも連携・協力し、責任を持って必要な対応を行うよう留意を要請している。

教職大学院における実習は、学校経営、学級経営、生徒指導、教育課程経営をはじめ学校の教育活動全体について総合的に体験し、教員の指導の下、一定期間計画的・継続的に学校教育活動に参画するもの。

この点について文科省は、臨時休業中における双方向オンライン通信を活用した授業のための教材作成や実施、児童・生徒の自宅に送付する授業教材やお知らせの作成や発送業務、学校再開に向けた様々な準備など、臨時休業後においては、補習指導の教材作成や実施、放課後における個別学習指導、その他児童生徒一人ひとりの学習の状況の把握や学習に著しい遅れが生じないための学校の様々な取組への参画、学校の安全・安心を確保するための衛生面の保持に向けた取組への参画など、幅広い学校教育活動について、実習の対象とすることも可能だとしている。

また、今年度に限り、連携協力校の状況を踏まえつつ、連携協力校の負担にならないことを前提に、実習の科目の総授業時間数のうち、3分の1を超えない範囲で、実習生が双方向オンライン通信の手段を活用しながら在宅、または大学において実習に参加することは差し支えないとしている。ただし、この場合、当該実習が連携協力校の学校教育活動に直接従事するものであって、教職大学院の教員及び連携協力校の教員による指導・助言を受けながら行われるものに限るとしている。

 

秋以降の実施も検討を

実施時期について文科省は、今年度の実習については、例年、春から夏に実施しているものについても、臨時休業明けは特に例年に比べて学校の業務負担が大きくことも想定されるため、教育委員会と協議の上、必要に応じて実施時期を秋以降とすることも検討していただきたいとしている。実習生を受け入れる連携協力校の今年度の受入れ数が制限される場合には、修了年次の学生など実習を次年度に実施することができない事情のある学生を優先するよう要請している。

学生への事前指導については、まず実習の2週間程度前から毎朝の検温及び風邪症状の確認を行うことや、感染リスクの高い場所に行く機会を減らすことなどを学生に徹底させる。実習中は、これに加えて、手洗いや咳エチケットなどの基本的な感染症対策を徹底し、マスクは常時装着することなど一層の感染症対策を行うことを学生に徹底するよう求めている。

また、実習に参加予定の学生の家族の感染が確認されるなど学生が濃厚接触者に特定された場合、感染者と最後に濃厚接触した日から起算して2週間は実習への参加を見送るよう指導するよう求めている。

実習中は受入先である各連携協力校における感染症対策の指示に従うことや、発熱などの風邪症状や体調不良が見られる場合には、連携協力校と相談の上、児童生徒らとの接触は絶対に避け、自宅で休養することを学生に徹底させるとしている。学生の感染が判明した場合や、地域の感染拡大状況により、急遽、実習を中止せざるを得ない場合などにおいては、教職大学院、学生、連携協力校・教育委員会が速やかに連絡を取り合うことができるよう、教職大学院は確実に連絡体制を構築するよう求めている。


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