2024年2月29日 大企業の9割が教育支援活動 「自社アピール」でなく社会貢献で

9割を超える大企業、中小企業でも過半数で何らかの教育支援活動を行っていることが、東京商工会議所が行った企業の教育支援活動の取り組み状況に関するアンケート調査で明らかとなった。教育支援を自社のアピールというよりも、社会貢献として捉え、企業活動の一環として進めている事業者が多いことが明確になったという。

調査結果によると、教育支援活動を大企業は91%、中小企業は53%が「実施している」と回答。実施内容は大企業・中業企業ともに「事業所の受け入れ」大企業97%、中小企業79%と最多。続いて大企業では「講師派遣」(71%)、中小企業は「物的・経済的な支援」(48%)などが行われている。

最多回答であった「事業所の受け入れ」の対象は、大学生・大学院生が大企業・中小企業とも最多で、特に大企業では82%を占める。中小企業では、大企業に比べて高校生を受け入れている割合が41%(大企業38%)と高い。実施目的は、「将来に向けての人材確保」が59%で最多。中小企業では「地域貢献」(55%)との回答も目立つ。

一方で、実施しない企業に対して理由を聞いたところ、「人的・金銭的負担が重い」(27%)、「学校からの要請がない」(26%)が大企業・中小企業とも多かった。

また、講師派遣は支援実施企業の50%が実施している。2021年の前回調査比18ポイントアップ。講師派遣の対象は、「大学生・大学院生」が大企業(75%)・中小企業(46%)ともに最多。中小企業は、「専門学校生・短大生・高専生」に対して講師を派遣している割合が高かった(大企業31%、中小企業41%)。

実施目的は「家庭・学校・地域との関係構築」(59%)、「地域貢献」(53%)が多い。「自社の知名度向上」は全体で45%にとどまり、特に中小企業は35%と低い。

物的・経済的な支援は47%の支援実施企業が行っており、前回調査比13ポイント増加した。支援対象は「小学生」が大企業(47%)・中小企業(35%)ともに最多。前回調査と比較すると、中小企業は全体的に実施割合が減少した。

実施目的は「地域貢献」が53%で最多。次いで、「家庭・学校・地域との関係構築」が45%と続く。具体的な活動内容としては、「学園祭等への自社商品の提供」や「学習支援団体への寄付」などを挙げる声があった。

 

アントレ教育支援は1割強

さらに、アントレプレナーシップ教育は支援実施企業の12%が実施しており、支援対象は大学生と大学院生が65%を占めた。実施目的は「地域貢献」が55%で最多。次いで、「将来に向けての人材確保」も50%と多い。主体的に活動している組織は、「学校」が70%で最多。「コーディネーター」の利用も一部でみられる。

実施しない理由で最も多かったのは、大企業で「人的・金銭的負担が重い」が38%、中小企業は「要請がない」33%。

学校でのイベントも企業での地域活動の一角を占めるが、大企業の32%、中小企業は22%が実施している。実施対象は「小学生」が最多の48%。目的は「地域貢献」が57%で最も多かった。社内での活動主体は、中小企業は「代表者・経営幹部」(50%)、大企業は「その他」(41%)が最も多い。営業部門や店舗責任者などを挙げる声が多かった。

 

行政の「旗振り役」期待

教育支援を行うために、企業からは「自社でできることがないか相談する相談者」の必要性が強調される一方、通常業務に支障が生じることへの懸念も示された。さらに、1社単独ではスケールが小さくなってしまうため、「行政を旗振り役として、数社が集まって社会貢献、教育支援ができる機会」を求める意見も寄せられた。


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