2021年5月7日 変異株の重症化率は5.5% 従来型は1.6%、比較は困難 感染研

国立感染症研究所は23日、新型コロナウイルスの変異株に関する調査結果を公表した。重症化率は5.5%で、従来株の重症化率である1.6%よりも高い数値だったが、調査チームは「対象数が限定的であることや、入院時の重症度や基礎疾患等、重症化の割合に影響を与える因子の調整を行っていないことなどから、変異株が従来株より重症化率が高いとは結論付けることは難しい」としている。

 調査は、昨年12月22日から今年3月9日までに、変異株に感染した110人の入院患者を対象に行った。年代別では、10歳未満が20人(18.2%)で最多。そのほか、10代が5人(4.5%)、20代が8人(7.3%)、30代が18人(16.4%)、40代が17人(15.5%)、50代が13人(11.8%)、60代が6人(5.5%)、70代が9人(8.2%)、80代が14人(12.7%)となっている。入院の医療機関では、新潟県、北海道、広島県、兵庫県、東京都の症例が多かった。変異株の種類は、全体の9割以上にあたる英国型が105人、残りは4人が南アフリカ型、1人がブラジル型となっている。

入院患者のBMIの中央値は21,5kg/㎡。喫煙歴があったのは6人(5.5%)で、日常的に飲酒していたのは1人(0.9%)だけだった。主な接触歴の内訳は、家族が47例(42.7%)、職場14例(12.7%)、保育・教育関連施設14例(12.7%)。発症14日以内に同居家族以外での集団で飲食していたのは9例(8.2%)、いわゆる3密空間に滞在していたのは13例(11.8%)だった。

入院患者の中で何らかの基礎疾患があった人は31人(28.2%)、疾患別みると、高血圧が17例(15.5%)、脂質異常症が11例(10.0%)、肥満が5例(4.5%)といった傾向があった。

治療をみると、投薬ではステロイドが24例(21.8%)、レムデシビルが21例(19.1%)、ファビピラビルが10例(9.1%)、トシリズマブが5例(4.5%)、シクレソニドが2例(1.8%)だった。

さらに、入院期間中に行われた酸素投与は、鼻カニューレもしくはマスクが21例(19.1%)、鼻から高流量(30L~60L/分)の酸素を投与するネーザルハイフローは8例(7.3%)行っていた。なお、5例(4.5%)がICUで重症治療を受け、このうち3例(2.7%)に人工呼吸器管理が、1例(0.9%)に体外式膜型人工肺(ECMO)装着されている。入院期間の中央値は16日。4月15日時点では、98人が退院、11人が入院中、1人が亡くなっている。

 

 


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