2021年8月20日 メタボ予防作用を発見 こんにゃく粉入り粥で中性脂肪低下

こんにゃく粉入り粥が中性脂肪を低下させる効果があることを発見―。群馬大学大学院医学系研究科臨床検査医学・食健康科学教育研究センター(群馬県前橋市)の葭田明弘助教、木村孝穂准教授、村上正巳教授らは、こんにゃくの入った粥を食べることで血中の中性脂肪が低下することを確認した。

群馬県利根郡昭和村に本社を置くグリンリーフ(株)が開発した、こんにゃく粉入り粥の糖・脂質代謝に及ぼす影響を解析する研究を行っていたもので、研究の結果、こんにゃく粉入り粥に血糖値とインスリンの上昇を抑制する効果が認められ、昨年7月に研究成果を学術研究誌に発表した。

研究グループではさらに研究を続ける中で、中性脂肪の変化を調べたところ、こんにゃく粉入り粥の摂取により血中の中性脂肪が低下する効果が認められた。さらに、中性脂肪代謝の中心的な役割を担っているリポ蛋白リパーゼ(LPL)の血中濃度が上昇することが明らかになった。この事実は、こんにゃくの新たな脂質代謝改善作用の存在を示唆しているという。

健常者を対象として行った研究で、通常の粥に比較して、こんにゃく粉入り粥の摂取により中性脂肪を低下させ、LPLの上昇を伴うことを示した初めての報告。こんにゃく摂取が中性脂肪を低下させ、メタボリック症候群や心血管疾患の発症を抑制することで人々の健康増進に貢献することが期待される。

研究によると、健常な37歳から60歳の男性13人のボランティアに対して、それぞれ3種類の粥(五分粥、0.4%こんにゃく粉含有粥、0.8%こんにゃく粉含有粥。いずれも約80kcal)を食べてもらい、摂食前と摂食後30分、60分、120分の時点での中性脂肪と中性脂肪代謝の中心的な役割を担っているLPLをはじめとする脂質代謝に関わる蛋白の血中濃度を測定した。

その結果、五分粥にこんにゃく粉(0.8%)を加えたことにより五分粥食後30分後以降、120分までの中性脂肪が低下した。

さらに、LPL濃度は五分粥では食後30分以降、120分後まで低下した一方で、こんにゃく粉入りの粥ではLPLの低下はなく、120分後には摂食前と比較して上昇した。

これにより、こんにゃく粉の食後中性脂肪低下作用は、主食と混合することにより強く発揮される可能性が示唆された。

 

腸の蠕動運動を促進

中性脂肪を低下させることができた理由として、粥に含まれたこんにゃく粉が胃内容物の粘稠性を高め、食物の胃内通過時間を延長させ、腸腸管の蠕動運動を促進した結果、血中の中性脂肪代謝の中心的な役割を担っているLPLが上昇したことが考えられる。これまでこんにゃくの長期の習慣的摂取による脂質代謝の改善作用の報告はあったが、摂取後30分から2時間という短時間に中性脂肪が低下する報告はなかった。

血中中性脂肪の増加は動脈硬化を進行させ、心血管疾患発症へつながるメタボリック症候群と強い関連がある。特に心筋梗塞や脳卒中のような大血管障害は、メタボリック症候群でも健常人に比べて危険度が大きくなる。健常者からメタボリック症候群への移行を予防することは大変重要なテーマ。

今回のこんにゃく粉入り粥の研究成果はメタボ症候群への移行を抑制して人々の健康増進に貢献することが期待される。


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