2021年5月18日 ストレスと腸内細菌の関連メカニズムを解明 予防法や新たな治療法の開発に期待 北大

北海道大学の研究グループは11日、心理的なストレスと腸内細菌の関連メカニズムを解明した。小腸のパネト細胞が分泌する自然免疫のαディフェンシンがストレスで減少。それにより、腸内フローラと腸内代謝物が異常となり、腸内環境の恒常性が撹乱することが分かった。研究の成果は、英国のネイチャー・リサーチ社が発行する自然科学誌「Scientific Reports」の10日公開版に掲載されている。

うつ病は、コロナ禍で患者の更なる増加が世界的に懸念されている。これまでにも、うつ病の発症に強く関与する心理的ストレスが、腸内フローラと腸内代謝物の異常を引き起こすことは知られていたが、その詳しい仕組みはわかっていなかった。

研究グループは脳と腸の相関関係に着目。αディフェンシンが、腸内フローラとその代謝物を調節して腸管の恒常性維持に貢献していること、選択的な殺菌活性で腸内フローラの組成を適切にコントロールしていることなどを踏まえ、その分泌量が減少することで腸内フローラと腸内代謝物の恒常性が破綻するのではないかという仮説を立てた。 研究では、うつ病モデルである慢性社会的敗北ストレスを与えたマウスを使用。マウスの便を採取し、αディフェンシンの量を解析した。その結果、ストレスが増えていくごとに分泌量が減っていくことを確認。腸内フローラと腸内代謝物を解析し、それぞれ異常になっていることを明らかにした。

一方、この心理的ストレスモデルマウスにαディフェンシンを経口投与し、低下していた腸内の分泌量を増加させることで、腸内フローラと腸内代謝物の異常が回復することも判明した。

今後はうつ病における腸の自然免疫(αディフェンシン)と腸内細菌叢の関係性をさらに追求していくことによって、将来的に脳腸相関という視点からの予防法や新規治療法の開発が期待できるとした。

※ αディフェンシン:自然免疫ではたらく主要な作用因子である抗菌ペプチド。腸内細菌叢の組成を制御して腸内環境の恒常性を保つ効果がある。αディフェンシンに質の異常や量の低下が生じると、腸内フローラを破綻させて様々な病気に関与することが知られている。

 


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