2017年6月13日 うつ病に関わるタンパク質を発見 胃薬が治療に効果か、岡山理科大・徳島大

岡山理科大と徳島大学病院の共同研究チームは、うつ病改善の鍵となるたんぱく質がわかったと発表した。このたんぱく質に作用する胃薬を使うことで、マウスのうつ症状が改善されたという。研究成果は5月31日付の米科学誌「サイエンス・アドバンシーズ」に掲載された。

研究チームは、脳内の海馬で細胞を保護する役割を持つ「熱ショックタンパク質(HSP)」に着目。HSPは体の至る所で発現が見られるが、うつとHSPとの関係は、これまで明らかにされていなかった。

研究ではストレスを受け、うつ状態になったマウスを調査。その結果、脳内の海馬で数あるHSPのうち105というタンパク質が減少していることを突き止めた。さらに、このタンパク質に作用する「テプレノン」という薬剤を投与することで、減少が抑えられることも確認した。

テプレノンは、胃薬として広く使われている。米国食品医薬品局(FDA)の200万件以上に及ぶ副作用のデータベース研究によれば、テプレノンを服用している患者では、服用していない患者に比べて、うつ病の出現頻度が低くなっていることも明らかになった。安全性についてはすでに確立されており、研究が進むことによって、うつ症状の予防や治療まで適用範囲が広がることが期待されている。

研究を主導した岡山理科大学理学部の橋川直也講師は、「(テプレノンは、)既存薬であるため、新薬の開発に比べると実用化しやすい。今後さらに、テプレノンが脳で働く詳細なメカニズムを調べていきたい」と述べている。


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