2021年2月24日 関税法違反事件の取締り状況 不正薬物の押収量5年連続で1トン超え

財務省は、令和2年の1年間に全国の税関が空港や港湾等において、不正薬物の密輸入その他の関税法違反事件を取り締まった実績をまとめた。覚醒剤、大麻、あへんや、ヘロイン、コカイン、MDMAなどを含む麻薬、向精神薬といった不正薬物全体の摘発件数は733件(前年比30%減)、押収量は約1906kg(同43%減)となり、共に減少した。しかしながら、不正薬物全体の押収量は、5年連続で1トンを超え、2トンに迫る過去3番目を記録し、深刻な状況となっている。

 

〔覚醒剤〕

摘発件数は72件(同83%減)、押収量は約800kg(同69%減)と共に減少した。押収した覚醒剤は、薬物乱用者の通常使用量で約2668万回分、末端価格にして約512億円に相当する。

密輸形態別では、海上貨物の押収量は大口密輸事件の摘発もあり、前年比約15倍と増加し、押収量全体の約8割を占めた。一方、航空機旅客、航空貨物、国際郵便物及び船員等をみると、摘発件数・押収量共に減少した。

 

〔大麻〕

大麻草の摘発件数は86件(同22%減)、押収量は約49kg(同21%減)と共に減少した。大麻リキッドなどを含む大麻樹脂は、摘発件数が117件(同11%減)と減少したものの、押収量は約68kg(同約3.2倍)と増加した。密輸仕出地別では、摘発件数をみるとアジア40%、北米17%と2地域で過半数を占めた。押収量は、アフリカ32%、北米31%、アジア19%と3地域で約8割を占めた。

 

〔麻薬〕

麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)の摘発件数は163件(前年比22%減)と減少したものの、押収量は約821kg(同25%増)及び約9万錠(同48%増)と増加した。このうち、コカインの摘発件数は27件(同48%減)と減少したものの、押収量は約818kg(同28%増)と増加した。MDMAの摘発件数は74件(同10%増)、押収量は錠剤型が約9万錠(同48%増)、その他の形状が約2kg(同約4.3倍)と共に増加した。

 

〔指定薬物〕

指定薬物の摘発件数は293件(同78%増)、押収量は約168kg(同約12倍)と共に増加した。シバガスの密輸事件を大量に摘発したことが押収量の増加要因。

このほか、金地金の摘発件数は51件(同16%減)、押収量は約150kg(同53%減)と共に減少した。密輸形態別では、摘発件数51件のうち、航空貨物と航空機旅客によるもので46件となり、全体の約9割を占めた。密輸仕出地別にみると、アジアからの密輸入が全体の98%と大宗を占めた。香港から航空貨物により金地金約30kgを密輸入しようとした(令和2年12月・東京税関)関税法違反事案が報告されている。

知的財産侵害物品等については、中国から国際郵便により商標権を侵害するマスク等247点を密輸入しようとした(令和2年12月・函館税関)。中国から国際郵便により商標権を侵害する衣類250点を密輸入しようとした(令和2年11月・東京税関)。マレーシアから航空貨物により著作権を侵害するDVD600枚を密輸入しようとした(令和2年12月・横浜税関)。ワシントン条約に該当するオーストラリアハイギョ15匹をインドネシアから航空貨物により密輸入した(令和2年3月・東京税関)。航空機により香港へうなぎの稚魚約58kgを密輸出しようとした(令和2年8月・大阪税関)。外国籍船舶によりドミニカへ盗難品を含む中古自動車エンジン10台を不正輸出した(令和2年12月・門司税関)。アメリカから国際郵便によりわいせつDVD62枚を密輸入しようとした(令和2年12月・東京税関)―などの関税法違反事案が報告されている。


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