政府は5月19日、産業力競争会議を開催し、人工知能(AI)などを積極的に活用し「第4次産業革命」を実現させることにより、30兆円の市場を創出するといったことを柱とする「新成長戦略」の素案をまとめた。また、前18日には、「ニッポン一億総活躍総活躍プラン」、さらに「骨太の方針」の素案も公表した。それぞれ今月末に閣議決定される見込み。
各戦略・プラン等のキーワードとなっている「第4次産業革命」。この技術革新を成し遂げた未来のわが国、そして世界の姿はどうなるのか?
一例をあげると、現在の画一的に大量生産を行っている工場が、「スマート工場」に生まれ変わる。さまざまな機器がインターネットによりつながるⅠoT(モノのネットワーク)により、例えば工場の生産管理をするコンピュータと、駅ビルの若者向け洋服店、さらにネット上に飛び交う言葉を分析することによって生み出されるデータ等が結びつき、工場で生産する洋服の量を変動させることでバランスのよい需要と供給関係が実現するという。
これは、ある種のパラダイムシフト(社会の価値観の変化)といえるが、懸念されるのは、間もなく人間の頭脳を超えるとも言われているコンピュータが、我々人類の仕事を奪うということ。少し前から、今の小学生が大学を卒業する頃には、現在の仕事の6割以上が存在しなくなるといわれてきたが、それがさらに加速しそうな模様。自分の将来はどうなるのかという心配をせざるを得ない。
18世紀半ばに始まった産業革命以降、人々はこうした現存する仕事を人類から奪う〝破壊的イノベーション〟と、時には戦い、共存してきた。さらに大事なことは、このような技術革新は、間違いなく地球上に暮らす人々の生活を向上させ、寿命を延ばしてきたという事実。恐らく、間もなく「スマート工場」に代表される新しい社会が実現し、人々もそれに適応するのだろう。
新成長戦略などでは、小中高校でのプログラミング教育の必修化を提唱しており、将来の高度情報社会に対応できる人材育成を急いでいる。10年後、20年後にどのような若者が入社してくるのか、また、一緒に仕事をすることになるのか。今から大いに期待すると言いたいが、パソコンを前に、「〇〇さん、こんなことも知らないんですか」と怒られることを、今から恐れている40ウン歳です。