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2017年8月28日 道徳科は「生きる力」の土台となるのか

 昭和33年に小・中学校学習指導要領が公示され「道徳の時間」が教育課程上位置づけられてから60年が経つという。全国の小・中学校の38万もの教室では毎週一コマ道徳の学習が実施されているが、例えば「いじめ」が減ったという話はついぞ聞いたことはない。むしろ、陰湿化、過激化し、耐えられずに自殺してしまう悲劇が後を絶たない。

 「いじめ」はいつでも、どこでも起こり得るものだという認識を持つべきだという文部科学省の指導が、学校現場の教師の中ではいつの間にか「いじめが発生するのはしょうがない」という認識に変わってきているのではないか。生徒たちの中には、見て見ぬふりをするようなねじ曲がった意識がはびこっているのではないか。 

 もちろん杞憂であれば何も言うことはない。しかし、戦後70数年の中で、相当の年月にわたって「わが国の歴史や伝統を大切にし、国を愛する心情を育てる」「わが国の文化と伝統を大切にし、先人の努力を知り、強度や国を愛する心をもつ」といった学習指導が行われてきたはずのこの国で「いじめ」がなくならず、あるいは貴重な文化財を傷つけたり、薬品をかけたりする輩が後から後から出てくる現実は、人としての基礎を培うべき家庭や学校の教育に原因の一端があるのではないかと疑わざるを得ない。 

 識者はもちろん多くの人々が道徳教育の実効性への疑問を指摘する中で、ゴミのポイ捨てや、ファッションという名の下に食事中でも帽子をかぶったままの人々が老若男女を問わず目につく。家庭でのしつけが大事なのは当然だし、学校でも人間教育の一環として考えさせ、身につけさせていくべきだろう。

 例えば生徒たちが相互に尊敬しあうことができる学習環境があれば、一部教職員集団が提唱したような「皆で一緒にゴール」などという欺瞞はなくなるのではないだろうか。新学習指導要領が目指す「生きる力」を育むための重要な支えとして「特別教科 道徳」が輝ける日本の再生に向けた新たな一歩となることを期待してやまない。

 


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