九州電力は1日から、電気の使用状況で高齢者の異常を察知して通知する「みまもりサポート」の仕組みを活かした社会実験を、福岡市などと連携して開始した。
「みまもりサポート」は、九電が昨年10月から月額500円で初めたサービスだ。1人暮らしの高齢者がどれだけ電気を使っているかを30分ごとにチェックし、過去1週間分のデータとその都度比較。使用量が通常と大きく異なる場合には、家族へメールなどで知らせる仕組みになっている。スタートからこれまでに、「身寄りはいないが利用できないか?」「近くなら様子を見に行ける。親族でなくても通知を受け取れないか?」「集合住宅のみんなで支え合えるようにして欲しい」といった声が寄せられていたという。
今回の社会実験では、本人の同意のもとメールの送り先を社会福祉協議会のメンバーらに設定。1人の高齢者に最大で5人がつき、全員同時にメールを受信できるようにする。実際に通知が来た際には、民生委員などが安否確認のために自宅へ向かう。福岡市城南区に住む約30人の独居の高齢者が参加する。
「監視されている」というストレスが本人に生じないか ー 。見守る側にかかってくる負担はどれくらいか ー 。そうしたポイントを検証して今後につなげていく考え。システムの改善点を洗い出す狙いもある。費用は九電が工面するという。
高齢者が1人で暮らす世帯が急激に増えていく今後は、各地域で実情に合った見守りの体制を構築していくことが重要な課題だ。住民の参加は欠かせない要素だが、少人数に重い負担がかかるようでは継続性が保たれにくい。より効率的な仕組みを作ろうとする社会実験が、官民の様々なレベルで積極的に展開されていくことが期待されている。