2月14日はバレンタインデー。日本では、女性から男性へチョコレートを贈る日として、1950年代から浸透してきた。しかし、その習慣は時代の流れともに変わり、最近では仲の良い友達同士でチョコレートを贈り合うなど、様々な形を見せている。男性から女性へ花を贈る「フラワーバレンタイン」といったものもあるらしい。
花と一言で表しても、その中には切り花、鉢もの、花木など、様々なものがある。そうした観賞用の植物を「花き」という。
花きの産出額は、農業産出額の約4%を占めているが、切り花の輸入増加、栽培農家の減少等を背景に、平成10年をピークに減少傾向で推移している。
一方で、日本の花きが近年、国際的に評価されている。昨年トルコで開催された「2016年アンタルヤ国際園芸博覧会」では、日本政府出展屋内展示が約16万人の人を集め、屋内展示部門の金賞を受賞した。さらに、期間中に様々なコンテストが行われたが、多くの日本産花きが最高得点の獲得を含め入賞するなど、高い評価を得た。
花きの輸出額も年々増えてきており、平成28年の輸出額は約88億円で、前年と比較して約6億3000万円増加している。そのほとんどは植木や盆栽だが、切り花についても現地プロモーション等により増加傾向にある。
また、花きの販売農家数は減少傾向にあるものの、生産者の年代構成では、45歳未満の農業者の割合が稲作と比較して約2倍と多く、若い世代が活躍している。
こうした中、農林水産省では、「国産花きイノベーション推進事業」で花き関係者の連携への支援、国産花きの強みを活かす生産・供給体制の強化、国産花きの需要拡大を進めている。さらに、平成29年度予算では、需要期に合わせて高品質な切り花を低コストで安定供給するのに必要なハウス内温度処理の新技術や、植木や盆栽の生産体制の強化に必要な大型挿し穂の利用等による育苗期間短縮化技術の実証の支援が拡充された。これにより、国産花きのシェア奪還と輸出拡大を一層推進していく考えだ。
海外への輸出だけでなく、花きには、公共施設やまちづくり、教育、福祉施設での利活用など、まだまだ大きな可能性がある。花きの生産や輸出を拡大させるためには、農家の努力や国の支援だけでなく、長きにわたり受け継がれてきた歴史や伝統、文化、その効能などを多くの人に理解してもらうことが重要だ。
これからだんだん暖かくなり、多くの花が咲き乱れる春を迎えるが、今回のバレンタインデーを機会に、こうした生活に身近な花や木、緑について、改めてその魅力を考えてみたいと思う。