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2017年2月6日 宇宙開発に発揮されるか「モノづくり」の技術力

政府は、保有する人工衛星が取得したデ-タの民間無料開放を拡大する。その狙いは、人工衛星から得られるデ-タを使ったビジネスの振興にある。小売や金融、農業などの幅広い分野で新しい事業が期待されており、先の国会で成立した「官民デ-タ活用推進基本法」が効を奏した格好である。

現在政府が保有する衛星情報は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する陸地観測デ-タや、気象庁が運用する気象観測デ-タである。無料開放されているデ-タは、米国・カナダと共同で運用している「テラ」が観測した大気や海面温度のみであった。改正個人情報保護法やサイバ-セキュリティ基本法などデ-タ保護施策の優先により、その活用が後手に回っていた。今回の衛星情報の無料開放は、政府の情報開示における現状改革といえる。

JAXAは、量産される民生用電子部品を使ったミニロケット(SS-520)を運搬手段として、重量100キログラム以下の超小型衛星の開発に取り組んできた。ミニロケットの打ち上げ費用は、H2A主力ロケットの約100億円に対して、3億円強である。衛星写真の撮影と通信により災害把握や農業向けの地表観察などの用途が見込まれており、低価格ロケットの需要は伸びる見通しである。新春早々の1月15日、内之浦宇宙空間観測所から、超小型衛星搭載の世界最小のミニロケットの初飛行が行われた。3段式のロケットは、第1段は正常に飛行したが、機体の温度や姿勢などのデ-タが地上で受信できなくなり、残念ながら第2段のエンジン点火を見送った。安全を優先して機体を海中に落下させた。ミニロケットの初飛行は失敗に終わったが、制御不能なロケットが衛星軌道上の宇宙ゴミとなることを回避しただけでも救われる思いである。

さて、急増する宇宙ゴミ(スペ-スデブリ)は、国際問題となっている。2011年打ち上げられた中国の宇宙ステ-ション「天宮1号」は制御不能で、今年の後半に地球に落下すると報じられている。重量8トンもある中国の宇宙ステ-ションは、大気圏で燃え尽きることなく落下するおそれも予想される。一方、昨年の12月に打ち上げた無人輸送機「こうのとり6号」は、国際宇宙ステ-ション(ISS)への物資搬送任務終了後、大気圏に突入するまでの7日間に宇宙ゴミの除去実験を世界に先駆けて行っている。欧米が先行する宇宙ロケット技術の中で、世界最小の衛星運搬用ミニロケットや宇宙ゴミの除去実験といったわが国特有の卓越した「モノづくり」による技術力に期待したい。そして、本稿掲載時に大気圏で燃え尽きる「こうのとり6号」にお疲れさまと声をかけたい。


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