多様化する社会のニーズに対応するため、主務官庁制を廃止し、法人の設立と公益性の判断を分離する「公益法人制度改革」が平成20年に行われてから7年が経過するとともに、新公益法人制度への移行期間が満了してから今年で2年が経過した。
新制度の下、公益法人は様々な分野で活動を行っており、安倍内閣の重要政策である地方創生や一億総活躍社会の実現においても重要な存在となっている。
内閣府公益認定等委員会が9月27日に公表した、平成27年「公益法人の概況及びお公益認定等委員会の活動報告」によると、全国的に特例民法法人から公益法人への移行がほぼ完了しており、昨年12月1日現在で公益法人数は約9400法人となった。
また、昨年度に一般法人から新たに公益認定を受けた法人の数は85法人ある一方で、解散が6法人、公益認定の取り消しが2法人、合併が11法人ある。
現行の制度では、公益法人の事業の適正な運営を確保するため、合議制の機関(内閣府は公益認定等委員会)が法律に基づく報告聴取・立入検査、勧告・命令等の監督を行っており、特に、監督に係る業務が重要度を増してきている。昨年度は、内閣府公益認定等委員会が、2法人について、債務超過や保全すべき財産の不当使用等の問題について、改善の見込みがみられないことから、現行制度化で初めて内閣府に対し公益認定の取消しの勧告を行い、その後、公益認定が取り消されたところである。
東日本大震災や熊本地震等の災害からの復旧・復興、2020年東京オリンピック・パラリンピックなどで公益法人としての働きが求められるが、国民の信頼があっての公益法人であることは言うまでもない。公益認定法の規定を順守するだけでなく、一般法人法の定めるガバナンスに関するルールに基づき、役割を果たしていくことが重要だ。