今後の制度改革の大きな方向性を議論している政府の全世代型社会保障検討会議は25日、これまでにコンセンサスが得られた分野に言及する第2次中間報告をまとめた。
介護も柱の1つとして取り上げている。テクノロジを駆使して業務の効率化を図り、より少ない人数でサービスを提供していける環境を整備する方針を明記した。
高齢者の急増と現役世代の急減が同時並行で進む今後は、サービスのニーズが更に高まる一方でマンパワーの確保が一段と難しくなる − 。これが政府の基本認識だ。限られた人材がケアや地域作りなどに専念できるよう、介護現場にイノベーションを起こさなければいけないとみている。
政府は今回の第2次中間報告に以下のように記載した。
「現在、業務改善や見守りセンサー、ケア記録の電子化、インカムなどの活用によって、より少ない人数で質を保ちつつサービスを提供する施設が存在している。こうした先進事例の全国展開を進める」
あわせて、ケアプランの作成を支援するAIなどの導入を進めていく考えも書き込んだ。
具体策としては、必要な機器を購入する施設への補助の拡充、運用ノウハウの共有、ソリューション開発の後押しなどをあげた。テクノロジの活用による効果を詳しく分析し、エビデンスに基づいて施設の介護報酬、運営基準を見直していく計画も打ち出している。
介護報酬、運営基準のあり方は今後の大きな焦点だ。政府内には思い切って人員配置を緩和すべきとの主張があるが、サービスの質の低下や現場の負担増などを懸念する声も決して少なくない。介護業界にも両論がある。厚生労働省は双方に配慮した中立的な態度を崩さないままだ。
厚労省は25日に開催した審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)でもこのテーマを俎上に載せた。会合では介護現場の革新、生産性の向上を目指すこと、来年度の報酬改定に何らかの施策を盛り込むことを確認。今後、年末にかけてその中身の検討を深めていくことで一致した。