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2020年6月1日 人工衛星の画像・観測データを使ったビジネス

人工衛星の観測データを使った漁業・農業におけるマンパワーの効率化が脚光を浴びるようになった。2017年12月下旬にJAXAは、H2A37号機で打ち上げた観測衛星「しきさい」を地球温暖化の予測のため打ち上げた。その1カ月後、「しきさい」が捉えた画像が公開された。250メ-トル四方の細かい領域ごとに様々な物質を観測できる画像であった。関東地方を撮影した画像では茨城、千葉両県にまたがる利根川河口から房総半島南部にかけた沿岸部や東京湾が緑色に明るくなっており、プランクトンなどの粒子状物質が多く分布している様子が判る鮮明な画像であった。

当時、公開されたH2A37号機のコア機体は、新しいミッションとして2機の衛星をそれぞれ異なる軌道に投入する挑戦でもあった。コア機体は自立的に飛行できるシステムを初めて採用した訳である。衛星の相乗り機会が拡大するとともに、人工衛星の打ち上げコストの廉価を狙っていた。その2年後にはイプシロン4号機で民間企業や大学などの開発した7基の小型衛星を搭載して、発射70分後に全ての衛星を分離して軌道投入に成功。相乗り衛星の打ち上げ技術は飛躍的な進歩を遂げている。

ところで、国際宇宙ステーションの400kmに対して、「しきさい」は600~800kmの高度で飛行を続けている。この高度であっても、宇宙空間ではわずかに大気が存在し、通常の地球観測衛星より大気の抵抗が大きい。このため小惑星探査機「はやぶさ」などで培ったイオンエンジンを噴射して落下することなく飛行を続ける。ただ、この低軌道帯には衛星の残骸など大量の宇宙ゴミがありその対策も課題である。

さて、衛星画像や観測データを使った衛星ビジネスは、今後10年間に約7,000基の小型衛星の需要が見込めるとの予想がある。米国、中国、インドの打ち上げコストは5~10億円程度に下がるといった情勢から、今以上に需給に向けた競争は激化するであろう。コストカットに向けた技術開発が今後の宇宙ビジネスにとって大きな課題である。更には民間主導の衛星ビジネス成功のカギは、商用化に向けた需要の取り込みと資金調達にかかっているといえる。また、この度政府は欧州連合(EU)と人工衛星データの相互利用できる連携協定を年内に締結すると発表した。宇宙ビジネス企業は、政府が手がけるインターネット上でデータ基盤を登録すれば日欧の様々な衛星画像を無料で入手・解析が可能になる。更なる衛星画像や観測データを使った革新的なサービスの創出も期待される。


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