厚生労働省は、高齢者や障害者、子どもといった分野の垣根を取り払い、本人も含めたあらゆる関係者が主体的に支え合う「地域共生社会」を推進していく方針だ。
7月15日には介護と保育を融合させたモデルなど、既存のジャンルを越えた拠点を普及させる施策の立案に取り組む組織を省内に設置。介護福祉士と保育士のカリキュラムに共通の基礎課程を設けるなど、複数の資格を取りやすくする手立ても具体的に検討している。福祉ニーズの多様化・複雑化や現場の人手不足といった課題を踏まえ、より効率的な仕組みの構築に結びつける狙いがある。2020年代初頭までの実現が目標だ。
「地域共生社会」は、政府が今年6月に閣議決定した「ニッポン1億総活躍プラン」にも盛り込まれた概念。生活に困難を抱えている人を区分せず、あらゆる関係者を巻き込みながら地域で一体的にみて包摂していく。制度の垣根を取り払い、対象者を限定しないワンストップのサービスに切り替えていく。そうした考え方が軸になっている。
塩崎恭久厚労省は、今月4日の再任会見で「個々の当事者の視点を重視して制度化に向けた議論を深めていきたい」などと述べ、改革を牽引していく意欲を強調。さらに、具体策を次の介護保険制度の改正にも反映させる考えも示した。