地方分権改革は、「住民に身近な行政は、できる限り地方公共団体が担い、その自主性を発揮するとともに、地域住民が地方行政に参画し、協働していくこと」を目指す改革。これまで、地方分権改革推進委員会勧告等をもとに、地方公共団体への事務・権限の移譲、地方に対する義務付け・枠付けの見直し等を進めてきたところである。
また、社会経済情勢の変化に対応して、地方の発意に根ざした取組を推進するため、委員会勧告に替わる手法として、個々の地方公共団体から地方分権改革に関する提案を広く募集し、それらの提案の実現に向けて検討を行う「提案募集方式」を平成26年から導入している。今年も3月17日から6月6日までの間、地方分権改革に関する提案を募集。その結果、地方から昨年度と概ね同じ数に相当する303件の提案があり、市町村からの提案が団体数、件数ともに増加したほか、子ども・子育て支援関係の提案が昨年と比較して大幅に増えている。
提案の中には、地方分権改革有識者会議の提案募集検討委員会で調査・審議を行う重点事項に関する提案が50件あり、「公有地の拡大の推進に関する法律に基づき取得した土地の利用に関する規制の緩和」や「「特別養護老人ホーム」と「障害者向けグループホーム」の合築に関する規制緩和」、「幼保連携型認定子ども園の設備に関する基準の緩和」などといった地方創生、一億総活躍社会の実現に資するものなどに関する提案が寄せられている。
これらの提案については、地方分権改革有識者会議や提案募集検討専門部会の調査・審議を経て、関係府省との調整を踏まえて、提案に関する対応方針について年末までに地方分権改革推進本部決定と閣議決定を行うこととしている。
提案募集方式による地方からの提案等は、これまでに第5次地方分権一括法で農地転用許可権限の移譲が、第6次地方分権一括法ではハローワークの地方移管が盛り込まれているが、今回の提案で地方分権改革がより一層進むことが望まれる。