日本人の平均寿命が過去最高を更新。男性は81.09歳、女性は87.26歳である(厚労省の「平成29年簡易生命表」より)。平均寿命の伸びは、がんの死亡率が下がったことと、心疾患と脳血管疾患死亡率の改善が寄与しているという。人間の寿命はどこまで伸びるのであろうかと思いつつも誰にも想定できないものである。ただ、人生における実年齢と主観年齢の違いが影響しているとの調査結果もある。
人間は25歳をピークに体力も免疫力も落ち、エイジング(老化)のプロセスが始まる。そのように人間の遺伝子は組み込まれている。即ち、子供や若者のほとんどが実年齢より主観年齢が高いのだが、25歳を境に逆転する。ここからは、主観年齢が実年齢より若くなり、30歳になると全体の7割が実年齢よりも自分は若いと感じるようになる。それ以降は偏差が広がるだけで、その思いが実際に若さを保たせて寿命を伸ばしている。即ちアンチエイジングは、心の持ち方次第で可能になり、少なくとも老け込むことを遅らせることができる。
昨今の高齢者は単に寿命が延びただけでなく、総じて元気である。従来「前期高齢者」と呼んできた65歳~75歳はまだ活力があり、勤労意欲も高く、体力や健康に自信のある方が多い。一方、この年代は個人によって老化度に差が大きいのも特徴だ。同じ実年齢(暦年齢)でも老けて見える方もいれば、若々しく見える方もいる。暦年齢は必ずしも体の老化度(生物学年齢)を表しているわけではない。生物学的老化指標が明確になれば、老化を遅らせる研究の更なる進歩も期待できる。しかし、今のところ暦年齢以上に人の老化度を適切に表す指標はなく、当分は暦年齢に頼る以外はなさそうだ。
さて、今年は敬老の日と秋分の日で週末3連休が連続する。行楽の秋、3連休を楽しむニュースが溢れる。一方、敬老の日にあわせてまとめた総務省の人口推計によれば、65歳以上の高齢者人口は前年比32万人増の3,588万人で、75歳以上は53万人増の1,848万人だそうだ。わが国の高齢者が総人口に占める割合は、世界201カ国中ダントツの第1位である。元気な高齢者の姿が放映されていたが、共通していることは「主観年齢が実年齢より若いと自己暗示して、疲労(ストレス)を溜めないこと」という。これこそが長寿の秘訣かもしれない。適度に運動して、適度に怠けて、疲れたと思ったらよく休み、よく眠ることに尽きるのだろう。片足立ちでズボンズはきにやや不安を感じるこの頃、まだまだ若いという気持ちだけは持ち続けたいものである。