労働行政を所管する厚生労働省の若手チームは8月26日、同省の業務改善に向けた緊急提言を根本匠厚労相に示し、内容を公表した。その中に盛り込まれた調査によると、職員の65%が自身の業務量を「多い」「非常に多い」と感じていることがわかった。提言ではICTの推進や人事課の体制強化、オフィス環境の改善などを行うよう求めている。
調査は、厚労省の職員約3800人を対象に、大規模なアンケートを2回実施。回答数は、初回の1065と2回目の1202の、計2267となった。
「自分の業務量についてどう感じるか」という質問に対し、47%が「多い」、18%が「非常に多い」と回答。複数回答で負担の原因をきいたところ、67%が「厚労省の人員不足」、65%が「自分たちで量やタイミングを選べない業務」と答えている。負担を感じる業務は何かという問いには、63%が「国会関連業務」、44%が「調整業務」、42%が「電話等対応」だと述べている。
実際、厚労省は中央省庁の中でも職員1人当たりの業務量が際立って多い。自民党の行政改革推進本部の調べでは、国会の答弁回数が2212回(2位の文部科学省は1998回)、所管委員会の出席時間数が419時間(2位の財務相は333時間)、質問主意書の答弁回数が38回(2位の文部科学省は34回)、審議会等の開催数417回(2位の総務相は263回)、訴訟件数1179回(2位の財務省は93件)‐など、2位以下に大差をつける結果となっている。
改善に向けた具体策では、ペーパーレス化などを推進。審議会等の会場設営といった準備業務の分業・集約化を進めるよう要請した。職員を企画担当と作業担当に分担することで、精度アップを目指す。
さらに、各局で行っている給与支給事務を一ヵ所に集約することで、担当者の孤立化を防ぎミスの軽減や生産性の向上につなげる。加えて総合職の採用・異動業務を兼務する担当を設置することで人事課の権限を大幅に強化。各人事グループからの人員補強することで増員を図り、省全体のマネジメントへつなげる。
そのほか、「暑い」、「狭い」、「暗い」、「汚い」といったオフィスの環境改善にも着手する。具体的には、▽エアコンの稼働最適化、▽照明を明るく、▽多目的フリースペースの確保や既存会議室の借用手続きの簡便化‐などだ。
提言を受けた根本厚労相は、「職員の率直な声を組織として重く受け止めたい」と回答。具体的な対策の検討に着手する構えを示している。