2018年6月14日 平成30年版「首都圏白書」 「都市のスポンジ化」への対応等を紹介

平成30年版の「首都圏白書」(平成29年度首都圏整備に関する年次報告)が8日に閣議決定され、同日国会に提出された。今回の白書では、「首都圏における『都市のスポンジ化』への対応及び都市の魅力・活力の向上」をテーマに取り上げ、現状分析や各地で取り組まれている好事例の紹介を行っている。

首都圏における「都市のスポンジ化」の動向について、首都圏では、高度成長期以来の人口急増を経て、周辺4県では既に人口減少局面を迎えていることを指摘。

その一方で、総住宅数は世帯数の増加を上回るペースで増加しており、これらを背景に郊外部を中心に空き家等が増加傾向にあることを記述。

特に郊外で計画整備された住宅団地では、開発期に一斉入居した住民の高齢化等により、空き家化が更に進むおそれもあるとの考えを示した。

首都圏での「都市のスポンジ化」への対応として、空き家・空き店舗を資源とした街づくりの取組(主な事例:ポケットパーク整備事業(埼玉県本庄市)、商店街の再生(栃木県宇都宮市))、不動産事業者のノウハウの活用(隣地統合(埼玉県毛呂山町)、自治体との協定の締結による流通促進(神奈川県海老名市))、多様な機能を導入したニュータウン再生(交流拠点整備による団地再生(埼玉県鳩山町))、鉄道沿線の活性化を取り上げている。

首都圏の魅力・活力の向上については、我が国の成長を牽引する大都市で、市街地整備を推進し、海外から企業・人材・投資を呼び込むことができる魅力ある拠点の形成が重要との考えを示した。

また、既存のビル、倉庫等の雰囲気を活かし、都市の記憶を承継しつつ、リノベーション、コンバージョン(用途転換)により、地域のポテンシャルに合った新しい機能を導入して、エリア価値を高める取組が展開されていることを記述。

リノベーション等によるまちづくりでは、老朽ビルのコンバージョン(川崎市日進町)、エリア一帯のリノベーションの連鎖(江東区)を紹介している。

 

■ サードワークプレイスが増加

働き方改革に資する就労拠点の展開について、首都圏を中心にサテライトオフィス、シェアオフィス、コワーキングスペースなどの、企業等のオフィスや自宅以外の第三の働く場所(サードワークプレイス)が増加していることを指摘。これらのワークプレイスは、①企業の勤労者のテレワーク拠点、②スタートアップ企業等の共用オフィス、ベンチャーや大企業等との交流・連携の拠点、③郊外住宅地等の子育て世代や高齢者等の就業の場等の役割があり、場所にとらわれない多様な働き方、企業間のオープン・イノベーションなど様々な効果が期待されるとした。

 

■ 首都圏整備の状況

首都圏整備の状況については、人口・居住環境・産業機能の状況、確固たる安全、安心の実現に向けた基礎的防災力の強化、面的な滞留を創出する社会システムの質の向上、国際競争力の強化、環境との共生、首都圏整備の推進について記述している。


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