「まだハードルがある」。登壇したSOMPOケアの遠藤健社長はそう語った。
有料老人ホームなどを運営する民間の事業者らでつくる「高齢者住宅経営者連絡協議会」が22日、東京・渋谷で介護人材の不足をテーマにシンポジウムを開いた。これから多くの業界でマンパワーの確保がさらに難しくなるとみられるなか、話題はおのずと技能実習制度を通じた外国人の受け入れに及んだ。
遠藤社長はこのなかで、日本人の採用・育成と併せて外国人実習生の受け入れにも力を入れていく姿勢を示す一方で、「今年は若干名のみにとどまった」と説明。「管理団体への支払いコスト、あるいは日本語教育のコストが高く難しい。これが一番悩ましいところ」と吐露した。
そのうえで、「業界でなんとか解決しないといけない。そうでないとニーズはあるが現実は伴わない、ということになってしまう」と呼びかけた。この「ハードル」を越えていくため、「規制緩和など制度の見直しも業界として働きかけていきたい」とも述べた。
遠藤社長は実習生への教育を充実させることの重要性も強調。「受け入れ側の我々は教育をちゃんとしないといけない。一時的な労働力として受け入れ、どんどん入れ替えていくような形は良くない。母国に戻って活躍できる人材をしっかり育てることが大事だと思う」と話した。
シンポジウムではこのほか登壇者から、「これまでの介護職員の増え方が今後も続くことを前提としている国の推計には無理がある」「外国人を10万人、あるいは20万人という規模で受け入れる −− 。そんな目標を国として明確に立てるくらいでないと、今後の人手不足には対応できない」といった声もあがった。