大雪に対する道路交通への障害を減らすための具体的な対策など今後取り組むべき課題の検討を行っていた、国土交通省の「冬期道路交通確保対策検討委員会」(委員長:石田東生筑波大学名誉教授)はこのほど、大雪時の道路交通確保対策の提言を取りまとめた。提言では、集中的な大雪時に、これまでの通行止めを回避するという道路交通確保に対する考え方を転換し、道路管理者の連携により、最大限の除雪に努めつつ、関係機関だけでなく、道路利用者や地域等に協力を求めながら、道路ネットワーク全体として大規模な車両滞留の抑制と通行止め時間の最小化を図る「道路ネットワーク機能への影響の最小化」を目標とすべきであるとの考えを示している。
提言ではまた、大雪時の道路交通確保に向けた道路管理者等の新たな取り組みとして、ソフト的対応では、タイムライン(段階的な行動計画)の作成、除雪体制の強化、除雪作業を担う地域建設業の確保、除雪作業への協力体制の構築、チェーン等の装着の徹底、集中的な大雪時の需要抑制、集中的な大雪時の予防的な通行規制・集中除雪の実施、立ち往生車両が発生した場合の迅速な対応をあげている。
このうち、タイムライン(段階的な行動計画)の作成では、関係機関と連携し地域特性を踏まえ作成・合同訓練を実施すること、気象予測の精度向上が必要とした。
また、除雪体制の強化のため、地域に応じた体制強化・道路管理者間の相互支援などの構築を求めた。
さらに、チェーン未装着の大型者等の通行制限やペナルティ等の検討を提言した。
集中的な大雪時の需要抑制では、出控え等の要請と社会全体のコンセンサス、都市部における公共交通機関との連携した呼びかけを求めている。
集中的な大雪時の予防的な通行規制・集中除雪の実施においては、通行止め基準の検討、リスク箇所の事前把握と監視強化、集中除雪による早期解放、広域的な広報、予告の発表による広域迂回の呼びかけが必要とした。
立ち往生車両が発生した場合の迅速な対応として、本線等の速やかな通行止め、沿道施設管理者との連携によるUターン場所の確保、滞留車両への物資や情報等の適切な提供が必要としている。
ハード的対応では、基幹的な道路ネットワークの強化(地域の実情に応じて、高速道路の暫定二車線区間や主要国道の四車線化、付加車線等を通じ、ネットワークを強化)、スポット対策、車両待機スペースの確保(カメラ増設、ロードヒーティング等の消融雪設備の整備、SA・PAの各庁や待避所の整備)を掲げている。
道路利用者や地域住民等の社会全体の取組として、集中的な大雪時の利用抑制・迂回(主体的な利用抑制に取り組む環境の醸成)、冬道走行時の準備(チェーン等の装備の備え)をあげている。
このほか、より効率的・効果的な対策に向けて、関係機関の連携の強化、情報収集・提供の工夫、新技術の積極的な活用が必要としている。
国交省では今後、提言に盛り込まれた新たな取り組みの実施に向けて、検討を進めていく方針だ。