日本医療労働組合連合会は11日、医療職・介護職の31.5%がセクハラ、パワハラ、マタハラのいずれかを受けたことがあるという調査結果を公表した。ハラスメントの被害にあった人のうち、46.7%が退職するかどうか考えたと答えている。
この調査は、昨年3月から9月にかけて全国の病院や介護施設などを対象に行われたもの。41都道府県の7225人から有効な回答を得たという。回答者は女性が73.9%、男性が24.8%。35歳以下が65.1%を占めている。職種別では看護職員が42.8%で最多。PT・OT・STなどのリハ職(13.5%)、介護職員(11.3%)と続いている。
■ 12%がセクハラ被害に
ハラスメントの種類別にみると、セクハラの被害にあったのは「よくある」「ときどきある」と答えた867人(12.0%)。加害者(複数回答)は「患者・家族」が49.7%で、「他職種」(16.4%)、「先輩」(13.7%)と比べて高かった。具体例の自由記述には、「不必要にべたべたとボディタッチをしてくる。下ネタを言ってくる」「下着を見せろという」といったケースが書かれていた。
パワハラにあったのは1920人(26.6%)。加害者(複数回答)は「上司」(48.6%)、「先輩」(32.9%)、「他職種」(18.8%)の順に多い。自由記述には、「夜勤を強制された」「あんたの顔を見るとイライラする、と言われた」などが報告されている。マタハラの被害者は179人(2.5%)だった。
■「医療・介護現場はハラスメントが起こりやすい」
医労連の担当者は、「医療や介護の現場は人手不足によってハラスメントが起こりやすい状況にある」と指摘。診療報酬・介護報酬を見直して余裕のある人員配置にすべきと訴えた。「何がハラスメント行為にあたるのか?」といった正しい知識を身に付ける研修会も効果的としている。